100円=千ウォン割れなら韓国経済に悪影響 当局注視
【ソウル聯合ニュース】ウォン高が進み来年の円・ウォンの為替レートが100円=1000ウォンを割る可能性が高くなってきた。対円でウォン高が進めば、韓国の輸出品の競争力が低下し、不況を脱しつつある韓国経済にとってマイナス材料になりかねない。韓国の金融当局も円・ウォンレートの推移を注意深く見守っている。
米金融情報サービス大手ブルームバーグによると、投資銀行10社は来年7~9月期の円・ウォンの平均レートを100円=996.0ウォンと予想した。これは四半期別の平均レートで、100円=1000ウォンを割る時期は7~9月よりも早まるとみられる。100円=1000ウォンを下回れば、2008年9月9日(100円=996.7ウォン)以来となる。
投資銀行の今年10~12月期の円・ウォンの予想レートは100円=1054.1ウォン。年初の100円=1230ウォンと比べ大きくウォン高が進行している。
日本が安倍政権の経済政策「アベノミクス」による量的緩和を進めているのに対し、韓国は10月の経常収支黒字が過去最高の95億ドル(9728億円)を記録したこともあり、ウォン高圧力に拍車がかかっている。
スイスの金融大手クレディ・スイスは来年の円・ウォンレートの平均を100円=950.9ウォンになると見通した。主要投資銀行の中では最もウォン高が進むとの予想だ。
韓国の景気は一時の不振から回復傾向にあるが、ウォンが円やドルに対して強くなれば輸出依存度が高い韓国経済は打撃を受けかねない。韓国のシンクタンク、ウリィ金融研究所は年平均の為替レートが1ドル=110円、1ドル=1000ウォンになった場合、製造業の利益が26兆ウォン(2兆5100億円)飛ぶと試算した。
サムスン経済研究所は1ドル=100円、1ドル=1000ウォンなら、韓国の輸出増加率が2.0ポイント低下し、経済成長率が1.8ポイント下がると予想した。
円・ウォンの為替レートをめぐっては、安倍晋三首相の側近の萩生田光一衆院議員が「ウォン買いでウォン高を進めて韓国の輸出競争力を低下させる」とまで主張している。
外為市場は、円安・ウォン高を防ぐため韓国当局が市場介入するとみている。ドル買いを通じ円安・ウォン高を円安・ウォン安に変えようとする動きだ。
これについて、韓国の当局者は「為替レートが価格競争力に影響を与えるかどうかについては、さまざまな意見がある。円・ウォンレートの動きは不透明な部分があるので鋭意注視している」と話した。
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