中国大使への抗議で配慮? 特別通路使わせ公開も事後=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国外交部が、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の在韓米軍への配備をめぐり、「韓中関係の破壊」に言及した邱国洪駐韓中国大使を非公開で呼び出したことが話題となっている。
邱大使は23日、韓国最大野党、共に民主党の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員会代表と会談し、THAADの在韓米軍への配備について、「中国は強く反対する」とした上で、韓中関係が「一つの問題により一瞬にして破壊されかねない」と警告した。
これを受け、外交部は24日午後、邱大使をソウルの同部庁舎に「招致」した。招致とは「人を呼んで来てもらう」という意味だが、主に外交官などに抗議の意を伝える必要があるときに使われる。金ホン均(キム・ホンギュン)次官補が午後4時ごろから40~50分ほど庁舎18階で邱大使と会ったとされる。
だがこの際、邱大使はメディアの前に全く姿を見せなかった。邱大使が庁舎を出た後に外交部が招致の事実を公表したためだ。
邱大使は外交部庁舎の訪問に通常の出入り口となる正門と2階ロビーを使わず、普段は閉まっている通用門から地下駐車場に向かい、そこからエレベーターで18階に直行した。出るときは同じルートを逆にたどったという。
外交部は、歴史問題などで別所浩郎駐韓日本大使をはじめとする在韓日本大使館の関係者を呼び出すときには、メディアに事前に通知し、時として面会の冒頭を公開していたが、邱大使に対しては全く違う非公開の形を取ったことになる。
邱大使の非外交的な発言に対しては招致という形で抗議の姿勢を示す一方、今後の韓中関係を念頭に邱大使のメンツを立てたと考えられる。
外交部はまた、「邱大使を招致し、(発言に関する)報道内容について議論した」と説明。外交的な抗議の意味を持つ招致という言葉を使いながらも、「抗議」という表現を直接使わなかった。
THAAD配備問題をめぐる韓中の隔たりに邱大使の発言も加わり、両国間の葛藤が深まるなか、中国側も事態の悪化を警戒する様子をみせている。
中国外務省の華春瑩副報道局長は24日、定例会見後に一部の韓国人記者と会い、「THAAD配備問題で両国関係が毀損(きそん)されることを望んでいない。邱大使は中国側の基本的な反対の立場を伝えようとしたものと理解している」と述べた。
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