ワタリガニ漁獲量が激減 韓国漁業者「中国の違法操業で」
【ソウル聯合ニュース】韓国の今年のワタリガニ漁獲量が昨年に比べ70%近く落ち込んでいることが10日、分かった。漁業者は中国漁船の違法操業が原因と主張している。
海洋水産部によると、4月のワタリガニの漁獲量は575トンで前年同月に比べ69%急減した。1~4月の累計も664トンで、前年同期(2107トン)の3分の1にも満たない。仁川海域で昨年の稚ガニの量が2013年の半分程度にとどまり、漁獲量が急減したと説明する。
漁業者はワタリガニの漁期に繰り返される中国漁船の違法操業の影響が深刻だとする。
中国漁船は黄海の韓国・延坪島周辺に最も多く出没する。水産資源が豊富な海域だが、黄海上の南北軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)に近く、韓国漁船は通行と操業が禁じられている。ここで育ったワタリガニが韓国の漁場に移動し、豊漁を記録した年もあった。
しかし、数年前から中国漁船が北朝鮮海域から南下してきて乱獲ともいえる違法操業を頻繁に行うようになり、資源が枯渇しつつあると韓国の漁業者は訴える。延坪島の関係者は「今この瞬間も中国漁船がこれみよがしに陣取っているのを見るとみると、悔しさを抑えきれない」と怒りをあらわにした。
違法操業による韓国側の正確な被害額は政府も把握できていない。海洋水産部関係者は違法操業をする中国漁船のほとんどが無許可の個人だとしながら、「安全保障問題にかかわるNLLの特性上いちいち取り締まるのも難しい上、中国当局の統計にもあらわれない漁船が大部分で、被害の推計は事実上不可能だ」と話す。
中国漁船が韓国漁業者の漁具や漁具にかかった水産資源を盗む事例も相次いでいる。違法操業による被害が証明されれば国が一部補償する内容の特別法が今年1月から施行されているが、補償を受けた漁業者はまだ無い。基準になる資料がないなど、客観的な被害の証明が難しいためだ。
漁獲量が一定水準に満たない場合に不足分を補償したり、安保問題にかかわる点を踏まえNLL海域一帯に違法操業防止用の人工魚礁を設置したりするなど、実効性のある対策作りが急がれる。
海洋水産部は10日に関係官庁と会議を開き、漁業者への支援策を話し合う。
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