休戦協定締結から63年 北朝鮮の脅威増大で対立深まる
【ソウル聯合ニュース】朝鮮戦争の休戦協定が締結されてから63年がたつが、朝鮮半島の平和への道のりはまだ遠い。韓国と北朝鮮はこの間、和解に向けて断続的に対話を行ってきたが、北朝鮮は核とミサイルの開発を進めてきた。
現在、南北の対話のルートは完全に断絶しており、軍事的な対立だけが深まりを見せる。不安定ながらも平和を支えてきた休戦協定は、執拗(しつよう)に無力化を図る北朝鮮によって死文化も同然の状況に追い込まれている。
◇北朝鮮、協定破りDMZに重火器
休戦協定は1953年7月27日に結ばれ、南北軍事境界線(MDL)を基準に南と北へそれぞれ2キロにわたる武力の緩衝地帯、非武装地帯(DMZ)が設定された。南北軍事境界線がある板門店には軍事休戦委員会と、休戦協定の履行と順守を確認・監督する中立国監督委員会も設けられた。
それから63年たつ今も休戦体制が続いている。その間、協定で定められた内容は一つずつ実質的に無力化し、協定自体も修正や補足を繰り返しつぎはぎだらけの状態だ。
DMZは個人防衛火器しか持ち込めないことになっていたが、北朝鮮は高射砲や迫撃砲などの重火器を搬入した。これに対抗し韓国もDMZに機関銃や迫撃砲などを持ちこめるよう、国連軍司令部が2014年に関連規定を改正。DMZは「武装地帯」に変わりつつある。
休戦協定に基づく軍事停戦委員会と中立国監督委員会も維持されてはいるが、本来の機能を果たせずにいる。
北朝鮮は協定締結直後から頻繁に違反。1990年代に入ると露骨に協定の無力化に乗り出した。1991年、軍事休戦委員会の国連軍側首席代表に韓国軍の少将が任命されたことに反発して軍事停戦委員会を認めないと宣言し、代わりに北朝鮮・開城に朝鮮人民軍板門店代表部を設置した。
中立国監督委員会に対しても、北朝鮮側が指名したチェコスロバキアとポーランドをそれぞれ1991年と1995年に撤収させた。現在はスウェーデンとスイスだけがMDLの南側で活動しているが、北朝鮮は委員会の存在を認めていない。
2013年3月には韓米の合同軍事演習を問題視し、休戦協定を白紙に戻し板門店代表部の活動も全面的に中断すると宣言した。
◇北朝鮮の核・ミサイル高度化、一触即発の事態に
北朝鮮は休戦協定の締結後も、繰り返し韓国に挑発を加えてきた。
2014年12月に韓国がまとめた国防白書によると、北朝鮮が1953年から2014年まで韓国に仕掛けた挑発は3040件に上る。スパイを送り込むなど韓国への侵入が1968件、黄海上の軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)の越境など軍事的な挑発が1072件。
黄海では1999年と2002年に延坪島付近、2009年に大青島付近で南北間の交戦が起きている。2010年に北朝鮮は韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈に続き、延坪島を砲撃した。こうした挑発のたびに、朝鮮半島が終戦ではなく休戦状態にあり、休戦協定で保障された平和がいかに不安定かが浮き彫りになった。
北朝鮮の核とミサイルの脅威は次第に増大している。4回の核実験を実施し、初歩的な水準の核兵器にとどまらず、ミサイルに搭載するための核弾頭の小型化を急いでいる。核兵器製造の最終段階とされる核弾頭の小型化と大気圏再突入の技術が相当なレベルに達しているとの分析もある。
核運搬手段となる「スカッド」や「ノドン」、「ムスダン」など弾道ミサイルもすでに実戦配備した。核弾頭の小型化と大気圏再突入の技術さえ完成すれば、いつでも韓国に向かって核ミサイルを発射することができる。
これに対し韓国政府は、国際社会と協力し強力な制裁で北朝鮮に圧力をかけている。また、北朝鮮にミサイル発射の兆しがあれば先にこれを破壊する兵器「キルチェーン」と、発射されたミサイルを空中で迎撃する韓国型ミサイル防衛(KAMD)を2020年代半ばまでに構築する計画だ。
さらに、韓米両国の軍当局は先ごろ、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」を韓国南部の慶尚北道・星州に配備することを決めた。その背景には、北朝鮮の核とミサイルの能力が相当な水準に達したとの判断がある。
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