中国漁船と韓国取り締まり船の衝突エスカレート 死亡事故も
【仁川聯合ニュース】黄海で違法操業する中国漁船とこれを取り締まる韓国当局とのぶつかり合いは激しさを増す一方だ。漁船の船員が韓国当局の隊員を傷つけかねない暴力で抵抗するのに対し、韓国当局は射撃も辞さない構えで対応している。死亡事故も起きている。
今月7日に仁川市・小青島周辺の海上で、中国漁船が取り締まりに当たっていた韓国警備当局の高速警備艇に体当たりして沈没させる事件が発生した。警備艇に乗っていた隊員は救助され大きなけがはなかったが、殺人未遂ともいえる意図的な攻撃だった。
韓国当局に拿捕(だほ)された中国漁船は最悪の場合、船が没収され多額の保証金を支払わなければならない。そのため中国漁船の船員は当局隊員が漁船に簡単に乗り移れないよう漁船に鉄格子や鉄条網を設置し、鉄パイプやハンマー、なたなどの凶器を手当たり次第振り回して接近を阻む。
2008年9月に木浦海洋警察の警察官が中国の船員が振り回したシャベルに頭をぶつけ海に投げ出されて死亡、11年12月には仁川海洋警察の警察官が船員に凶器で刺されて死亡した。08年以降、船員の抵抗で韓国側は2人が死亡、73人が負傷した。
合法的な手続きに基づく取り締まりを暴力で逃れようとする中国漁船に対し、韓国当局は11年3月、船員を狙い射撃を行った。忠清南道の泰安付近の海上で、中国漁船の船員が振り回したハンマーで当局の隊員が重傷を負ったことから、船員の足を撃って検挙した。
同年12月には特殊機動隊員全員に拳銃のK5を支給した。それまではゴム弾や電磁波を利用した銃など非殺傷兵器を主に使っていたが、銃を使用することで船員から抵抗する意思を奪うという意図を明確にした。
12年10月、全羅南道・新安近くの海上で中国漁船の船員が海洋警察のゴム弾に撃たれて死亡した。これは海洋警察による取り締まりで中国側の船員が死亡した最初の事例だ。15年5月には仁川付近の海上で、中国漁船の船員が鉄格子を振り上げ激しく抵抗したことから、韓国当局が実弾を撃ち検挙した。
黄海は特にワタリガニ漁のシーズンになると違法操業のために数多くの中国漁船が集まり、韓国当局と攻防を繰り広げる。
先月29日には新安近くの海上で取り締まりのさなかに中国漁船で火災が発生し船員3人が死亡した。韓国当局が操舵室に閃光弾3発を投げ込んだ直後に出火したが、原因が閃光弾だったのか、船内に引火性物質があったためだったのかは調査中だ。
中国漁船の暴力による抵抗と韓国当局の厳しい対応で、事態はますます悪化している。しかし、両国政府による外交的な解決には至っていない。中国の外交、水産当局は7月に開かれた韓中間の漁業問題に関する協力会議で、「違法操業の取り締まりに対する決意は確かだ」としながらも、漁船の数が多すぎるため管理は容易ではないと、現実的な難しさを遠回しに伝えていた。
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