韓国経済の来年成長率2.6% 政府が下方修正
【世宗聯合ニュース】韓国政府が29日、「2017年の経済政策方向」を発表し、韓国の来年の国内総生産(GDP)成長率を2.6%と予測した。6月に発表した3.0%の見通しから0.4ポイント引き下げた。政府が2%台の見通しを示すのは、アジア通貨危機直後の1999年以来となる。
政府の見通し通りならば、2015年の2.6%、今年の2.6%に続き、3年連続で2%台の低成長にとどまる。
政府は来年の見通しを下方修正した要因として内需の鈍化を挙げた。原油価格の上昇や金利の上昇圧力などで韓国経済を取り巻く環境が悪化すると予測。輸出は世界の貿易量の回復や主力商品の業況改善などでやや改善するものの、中国経済の成長鈍化や保護主義が広がる傾向を受け、回復の勢いは限られるという。
上半期の内需は財政の早期執行、老朽車に対する個別消費税の減免などを追い風に、今年10~12月期に比べるとある程度回復する可能性もあるが、米新政権発足による不確実性も指摘される。また、下半期には構造改革の影響が内需の足を引っ張り、回復の勢いが弱まる見通しだ。
政府は来年の民間消費の増加率を、今年の2.4%を下回る2.0%と予測した。雇用状況の悪化で実質購買力が伸び悩むためだ。米国の利上げに伴い資産運用市場の不透明感が強まり取引量が鈍化するほか、債務返済の負担増や平均寿命の延びなども消費支出を制約する要因に挙げられる。
設備投資は今年3.3%のマイナスとなるが、来年は新産業投資への支援などを追い風に、IT分野を中心に2.8%の増加に転じる見通しだ。製造業稼働率の低下や構造改革などで企業マインドの回復は遅れているものの、企業の営業利益の改善や新産業・有望サービス業育成などの政策効果が投資をけん引すると分析した。
不動産の好況で今年10.8%伸びた建設投資は、来年は完成工事高の増加や着工面積の減少などにより4.0%増に鈍化すると予想される。
研究・開発(R&D)など知的財産生産物の投資は、今年の2.4%増から来年は2.9%増に拡大する見通しだ。
政府は来年の就業者増加数を26万人と予想した。目安とする30万人を大きく下回る。失業率は今年の3.8%から来年は3.9%と小幅ながら悪化する見通しだ。製造業の停滞、造船と鉄鋼業の構造改革、海外の不確実性拡大などで企業マインドが委縮し、労働需要が減少するため。ただ、サービス業は保健福祉分野を中心に労働需要の増加が見込まれる。
消費者物価の上昇率は原油や穀物価格の上昇により、今年の1.0%を上回る1.6%に拡大する見通しだ。公共料金が上昇に転じると予測した。
輸出は今年は6.1%減から来年は2.9%のプラスに転じるとした。世界貿易量の改善や半導体の単価回復などが支える。
経済収支は820億ドル(約9兆6000億円)の黒字を予想した。輸入が輸出の増加幅を上回ることから、今年の940億ドルに比べると黒字幅が縮小する。
政府は「生産年齢人口の減少や主力産業の競争力低下などの構造的な問題が、消費と投資、輸出を制約する」と説明した。政府は今年10~12月期の成長不振の流れを断ち切るための政策対応に注力するという。
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