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田舎町が起こした奇跡 世界釣り上げた「華川ヤマメ祭り」

記事一覧 2017.01.12 22:09

【華川聯合ニュース】分断国家、韓国の休戦ラインに近い地域で、世界が注目する冬のイベントが14日開幕する。人口2万7000人の韓国北部・江原道華川郡の小さな田舎町に毎年100万人以上が訪れる「氷の国華川ヤマメ祭り」だ。  

昨年の「氷の国華川ヤマメ祭り」=(聯合ニュース)

昨年の「氷の国華川ヤマメ祭り」=(聯合ニュース)

 冬になると郡の人口の何十倍に達する人が押し寄せるこの祭りは、2003年に始まり今年で14年目を迎える。 

 朝鮮戦争の激戦地として安保や平和を象徴する華川は、世界的な「お祭り都市」として有名だ。華川ヤマメ祭りを訪れる人波と、氷上を埋める人々の壮観な光景は韓国だけでなく、世界で脚光を浴びている。 

 世界的な冬の祭りとなった華川ヤマメ祭りを作り上げた田舎町の奇跡が今年も続くか、注目が集まっている。

昨年の祭りでヤマメのつかみ取りを楽しむ人々=(聯合ニュース)

昨年の祭りでヤマメのつかみ取りを楽しむ人々=(聯合ニュース)

 華川郡は面積の90%が山と河川に囲まれており、軍事境界線に近いという地域の特性上、軍事施設保護区域や環境規制など二重三重の規制が重なって身動きの取れない「辺境都市」だ。実際に、華川郡の全人口よりも軍人の方が多い「武装都市」でもある。

 そのためこれまでこれといった事業基盤がなかった華川は、北朝鮮の挑発行為などにより地域経済が悪化の一途をたどっていた。華川ヤマメ祭りはまさに生き残りをかけた生存戦略から生まれたものだ。

 2000年に行われた第1回浪川氷祭りは、コンテンツの多様性と経済力の不足により不評に終わった。華川郡と住民は知恵を絞り、冬の厳しい寒さと氷、さまざまな規制により保全されている自然に答えを見いだした。

 舞台は韓国で最も早く氷が張ると言われている華川の河川、主役には冷水域に生息する在来種のヤマメに白羽の矢を立てた。

 成功するか半信半疑だったが、祭りの初年度に町の住民の約10倍に達する20万人以上が華川に押し寄せた。メディアは山奥の小さな町の奇跡として祭りの成功を伝えた。

 2006年には韓国の「有望な祭り」、08年には「優秀な祭り」、10年には「最優秀祭り」に選ばれるなど、成長を続けてきた。14年からは今回まで4回連続で、韓国を「代表する祭り」に選ばれている。

昨年の祭りでの氷上釣りの様子=(聯合ニュース)

昨年の祭りでの氷上釣りの様子=(聯合ニュース)

 「10年連続100万人突破」という史上例のない記録を持つ華川ヤマメ祭りは、中国・ハルビンの「ハルビン国際氷雪祭り」、日本・札幌の「さっぽろ雪まつり」、カナダ・ケベックの「ウインター・カーニバル」と肩を並べ、世界4大冬祭りと称されるまでに成長した。

 昨年、ヤマメ祭りのため華川を訪れた外国人観光客は、過去最多となる約7万8000人に達した。海外の主要メディアは毎年、凍った川面に穴を開けて釣り糸を垂らすシーンをトピックとして報道している。

今年の祭りに向けて大型の雪像を作る様子=(聯合ニュース)

今年の祭りに向けて大型の雪像を作る様子=(聯合ニュース)

 華川ヤマメ祭りは、韓国政府の地方財政統合公開システム(2014年度)に韓国唯一の「黒字イベント」として記録され、2016年の祭りでは直接的な経済効果が約991億ウォン(現在のレートで約96億円)に上ったとの専門機関の調査結果が発表された。また、地域住民の同祭りへの参加率は約70%に達するとの評価もある。

 2006年に初めて導入された「華川サラン(愛)商品券」も人気を集めている。同祭りに参加して支払った費用の一部を、地域の農産物と交換したり、地域の商圏で使用したりすることのできる商品券で還元するものだ。韓国全土の地域商品券の先駆けとして期待以上の効果を収め、昨年の同祭りでは商品券と農特産物交換券の発行券流通額が約12億6000万ウォンとなった。

 華川地域の住民や企業は一年を通じて祭りの設置準備に追われるが、自然環境を利用した祭りだけに、開幕時期が近づくと気候の変化に一喜一憂させられる。

 今年は世界的な温暖化と突然の豪雨で、川に氷が張らず危機を迎えたが、華川郡と住民はさまざまなウインタースポーツのプログラムを増やし、宿泊施設の利用客は無料で夜釣りを楽しめるようにするなど新たな試みを続けている。

 さらに今年は、フィンランド・ロバニエミ市との協定を通じ、同市公認のサンタを招くほか、サンタ郵便局を設置するなど「1月のクリスマス」を楽しむイベントを行う。

サンタ郵便局=(聯合ニュース)

サンタ郵便局=(聯合ニュース)

 華川ヤマメ祭りを成功に導いた最大の原動力は、住民の関心と参加だった。

 巨大な祭り会場を管理するためには多額の費用がかかるが、ボランティアセンターをはじめ、社会団体や住民が自発的に動いた。ボランティアの登録者数は住民数の60%を超える約1万5000人に上り、観光客の案内から環境整備、交通整理、トイレの管理などに参加する。

 一方で、祭り会場に向かう国道や地方道路の渋滞や、開通から50年以上になる華川大橋の改善が急がれる。観光需要に対し公共施設の整備不足が足かせになっている状況だ。

 崔文洵(チェ・ムンスン)華川郡首は「世界的な祭りに成長した華川ヤマメ祭りは、滞在型の祭りへの変革元年として夜間にも楽しめるプログラムを大幅に増やした」と説明し、「官民軍が力を合わせて祭りを成功させたい」と語った。

 先月24日のクリスマスイブには、祭りムードを盛り上げるランタン通りの点灯式と世界最大級の室内氷彫刻広場の開場式が開催され、祭りシーズンの開幕を彩った。

先月24日に点灯式があったランタン通り=(聯合ニュース)

先月24日に点灯式があったランタン通り=(聯合ニュース)

 「2017氷の国華川ヤマメ祭り」は今月14日から来月5日まで、23日間にわたって開催される。

ynhrm@yna.co.kr

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