慰安婦被害者本人が知らない「現金支給」 波紋広がる=韓国
慰安婦被害者本人が知らない「現金支給」 波紋広がる=韓国

韓国の市民団体が釜山の日本総領事館前に旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像を設置したことへの対抗措置として、長嶺安政・駐韓大使が一時帰国した。金浦国際空港で記者団に話す長嶺大使=9日、ソウル(聯合ニュース)
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【昌原聯合ニュース】旧日本軍の慰安婦問題をめぐる韓日合意に基づき日本政府が拠出した10億円を活用し、被害者を支援するため韓国政府が設立した「和解・癒やし財団」が、被害者が知らない間に現金を支給していたことが分かり、物議を醸している。

韓国・釜山の日本総領事館前に市民団体が設置した旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像を訪れる市民が相次いでいる。像をめぐっては日本政府が対抗措置として長嶺安政大使の一時帰国を発表するなど、両国の外交問題として浮上している。娘に像の意味について説明する市民=8日、釜山(聯合ニュース)
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「和解・癒やし財団」の設立を許可し、同財団の具体的な事業計画を承認した女性家族部などによると、昨年財団は慰安婦被害者のうち生存者のキム・ボクドゥクさんに現金を支給した。財団は昨年10月と11月の2回にわたり計1億ウォン(約970万円)を本人名義の口座に振り込んだとされる。
問題はキムさんがこの事実を事前に知らなかった点にある。キムさんは自分の通帳を家族の1人に預けて管理を任せてきたとされる。

旧日本軍の慰安婦被害者支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)がソウルの日本大使館前で今年最初で通算1264回目となる「水曜集会」を開いた。集会で公開された慰安婦被害者の金福童(キム・ボクドン)さんと吉元玉(キル・ウォンオク)さんの銅像。像は4~5月ごろ「戦争と女性の人権博物館」(ソウル市麻浦区)に設置される=4日、ソウル(聯合ニュース)
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キムさんの通帳を管理する家族が入金前に現金受け取りの事実を知っていたのか、入金された現金をどうしたのかはまだ明らかになっていない。
1994年に韓国政府に慰安婦被害者として登録されたキムさんを支援してきた市民団体「日本軍慰安婦のハルモニ(おばあさん)と共にする統営巨済市民の集まり」はキムさんの99歳の誕生日(今月14日)の数日前に現金が支給された事実を偶然知ったと説明した。これに対し団体がキムさんに直接尋ねたところ、本人はそのことを全く知らずにいたとされる。

韓国の釜山市東区が在釜山日本総領事館前の公道に旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像を設置することを認めた。このため、一度撤去された少女像が再び設置された。像を抱き締める市民=30日、釜山(聯合ニュース)
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同団体は2015年末の韓日合意と関連し、財団側が正当性をアピールするために被害者側に無理に接触し、当事者ではなく家族に現金を支給したとの見解を示した。これに関し、記者会見を開く予定だという。
「和解・癒やし財団」はこれに対し「15日の説明資料以外に話すことはない」と答えた。財団側は「財団が慰安婦被害者を相手に現金1億ウォンを受け取るよう懐柔した」との一部主張に「財団と金兌玄(キム・テヒョン)理事長が被害者を相手に『1億ウォンを受け取れ』と横から勧めたり、懐柔したりしたことはない」と説明した。
また「日本政府が謝罪と反省の意味で拠出した現金に対し、被害者と家族に丁寧に説明し、受け取りの意思を尋ねてその決定に従った」と明らかにした。
ynhrm@yna.co.kr