補完捜査経てサムスントップ逮捕 朴大統領に照準=特別検察
【ソウル聯合ニュース】韓国最大の財閥サムスングループの事実上のトップ、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長が17日、親友の崔順実(チェ・スンシル)被告と共謀した朴槿恵(パク・クネ)大統領に多額の賄賂を贈ったとして、贈賄容疑などで逮捕された。
朴大統領に絡む疑惑や崔被告の国政介入事件を調べる特別検察官は李容疑者の逮捕を足掛かりに、収賄側に位置付ける朴大統領の対面聴取に全力を挙げる方針だ。特別検察官は、サムスンと朴大統領側が李容疑者へのグループ経営権継承全般をめぐり「取引」をしていたとみている。
特別検察官の捜査チームはこの日午前、ソウル中央地裁から逮捕状の発付を受け、李容疑者を逮捕した。サムスングループのトップが逮捕・拘束されたのは初めて。併せて逮捕状を請求していた朴商鎮(パク・サンジン)サムスン電子対外担当社長については、請求が棄却された。
李容疑者に対しては、捜査チームが1月にも贈賄容疑などで逮捕状を請求したが、この時は棄却されていた。今回、4週間の補完捜査を経て捜査チームが新たに示した証拠を地裁が審査し、「拘束の必要性が認められる」との判断を示した。
李容疑者の容疑は1月の請求時と同じ贈賄、横領、国会での偽証に財産国外逃避、犯罪収益隠匿を加えた五つ。サムスン電子が馬術選手の育成を名目に、2015年に崔被告が設立したドイツのペーパーカンパニー「コレスポーツ(ビデクスポーツの前身)」と213億ウォン(現在のレートで約21億円)規模のコンサルティング契約を結び、このうち一部を送金したことに関与した疑いが持たれている。
サムスン電子は、崔被告とめいのチャン・シホ被告が設立した社団法人「韓国冬季スポーツ英才センター」に16億2800万ウォンの支援金を提供した。また、サムスン側は崔被告が実質支配した文化支援財団「ミル財団」とスポーツ支援財団「Kスポーツ財団」に大企業のうちで最も多い204億ウォンを拠出した。
捜査チームは、コレスポーツとの契約金には贈賄容疑を、ミル財団・Kスポーツ財団への拠出金と韓国冬季スポーツ英才センターへの支援金には第三者供賄容疑をそれぞれ適用した。贈収賄罪は実際に金品のやり取りがなかったとしても約束するだけで成立するため、サムスン側が贈ったり贈ろうとしたりした計約433億ウォン全てについて贈賄または第三者供賄の容疑を適用した。
また、コレスポーツに送金した資金や馬術選手だった崔被告の娘が使う馬の購入代金については横領と見なした。
捜査チームは、崔被告側への金銭支援のためコンサルティング契約を結んだ行為を財産の国外逃避と犯罪収益隠匿に当たると見なし、この容疑を新たに逮捕状に加えた。
李容疑者側はこれまで、崔被告側への支援は朴大統領の事実上の強要によるもので、自らは「被害者」だと主張していた。逮捕状が発付されたことから、時として強要とみなせる行為があったとしても、大枠では経営権継承を支援してもらう見返りに崔被告側に金銭を渡したと見るべきだとする特別検察官の主張を地裁が支持したと受け止められる。
tnak51@yna.co.kr