[韓国大統領罷免]弾劾による初の大統領不在 どうなる国政運営?
【ソウル聯合ニュース】韓国憲法裁判所が10日、朴槿恵(パク・クネ)氏の大統領罷免を認めたことで、韓国は前人未到の領域に足を踏み入れる。憲政史上初めて、罷免による大統領不在という事態となったのだ。
2004年に当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領に対する弾劾訴追案が可決された際には、当時首相だった高建(コ・ゴン)氏が大統領権限代行を務めたが、弾劾が棄却されたことで盧大統領は職務停止から63日で復帰した。
今後、韓国の国政運営の舵取りは次期大統領選までの最大60日間、黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行首相が務めることになる。ただ、黄氏が次期大統領選への出馬を決めた場合は、柳一鎬(ユ・イルホ)経済副首相兼企画財政部長官が権限代行を務める。
黄氏はこれまで職務停止となった大統領に代わり、職務を遂行してきたが、職務停止ではなく、大統領が不在となった状況での権限代行はこれまでとは異なる重圧があるものとみられる。
ただ、誰が権限代行を担当することになっても、しばらくは堅固な安全保障体制の確立に力点を置くものとみられる。昨年12月9日に国会が朴大統領の弾劾訴追を可決した直後、黄氏は韓民求(ハン・ミング)国防部長官に電話し、全軍に対する警戒態勢の強化を指示。同日午後には国家安全保障会議(NSC)を開き、まず安保状況を点検した。
特に最近は北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシアで殺害されたのに続き、北朝鮮が弾道ミサイルを発射するなど、安保の不確実性が高まっている。さらに中国が米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の在韓米軍配備に強く反発するなど、北東アジア情勢は不安定な状態にある。
そのため大統領権限代行は当分の間、北朝鮮の挑発に備えて安保を最優先課題とし、THAADの配備などを通じた韓米による連合防衛態勢の構築に注力するものとみられる。
また中国がTHAADの韓国配備に反発し、経済分野などで報復措置を取っていることに対する対策を立てるものとみられる。
次期大統領選の選挙日を決めることも大統領権限代行の重要な職務だ。関連法により、弾劾が認められた日の翌日から60日以内に大統領選が実施され、選挙日は遅くとも選挙日の50日前までに公示される。大統領選が5月9日実施されるとすれば、3月20日までに選挙日を決定しなければならない。大統領権限代行は選挙が行われるまでの60日間、選挙を公正に管理することに尽力する必要がある。
さらに朴氏の弾劾をめぐり、賛成派と反対派に分かれた民意をまとめるのも権限代行の務めだ。今回の決定を受けて行われる今週末の両派の集会が安全に進められるよう管理する必要もある。
yugiri@yna.co.kr