日朝関係正常化に期待 金正恩氏は日本と対話の用意=文大統領
【ソウル聯合ニュース】9日に東京での韓日中首脳会談を控える韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は8日までに読売新聞の書面インタビューに応じ、「日朝間の対話が再開されるべき」とし、「日朝関係が正常化されれば、朝鮮半島を超えて、北東アジアの平和と安定に寄与する」との見方を示した。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は日本と対話する用意があるとも言及した。
文大統領は「日本は朝鮮半島の平和と繁栄のために重要な役割を果たすことができる」としながら、完全な非核化の達成に向けた韓米日の連携、北朝鮮の体制の安全を保証する日朝関係の正常化などを挙げた。
4月27日の南北首脳会談では金委員長と日朝関係について話を交わしたとし、安倍晋三首相が過去の問題清算を基盤とした日朝国交正常化を推進する意思があることを金委員長に伝えると、金委員長は「いつでも日本と対話する用意がある」と述べたと説明。その上で、「米朝首脳会談の成功はもちろん、朝鮮半島の恒久的な平和定着に向けた今後の道のりに対する日本の支持と協力を期待する」と呼びかけた。
北朝鮮による日本人拉致被害者の問題に関しては、「日本政府と国民にとってどれほど重要な事案であるのかよく理解している。金委員長と首脳会談を行った時にも直接この問題について話した」と述べ、日本政府と引き続き協力していく方針を示した。
また、南北首脳会談で金委員長と率直な議論を交わす中、「完全な非核化と核のない朝鮮半島の実現に向けた意志を直接確認した」とし、これが今後の米朝首脳会談を成功に導く土台になるとの期待を示した。トランプ米大統領も南北会談の進展を高く評価するとともに米朝首脳会談への期待感を表したとしながら、同会談で具体的な方策が講じられることが重要と述べた。金委員長が核実験場閉鎖を公開する方針を示したことも展望を明るくしているとしながら、米朝首脳会談は「逃してはならない歴史的機会」と強調した。
金委員長自身については、「とても率直で、実用的な人」との印象を受けたと述べ、「(南北首脳会談で双方は)朝鮮半島の完全な非核化という共同の目標を確認し、『板門店宣言』という貴重な合意に至った」と評価した。
文大統領は「金委員長は国際社会からの要求を明確に理解している」とし、「米朝間の信頼を強化し、合意がうまくなされるように全ての可能な役割を果たしていきたい」と述べた。その際は日本をはじめ、国際社会の主な関係国と緊密に連携するとした。
韓日間の歴史問題に対しては、政府間の合意や条約だけでなく、「真心のこもった誠意ある反省と謝罪が被害者に伝えられ、受け止められなければならい」と述べた。
一方で、「私は歴史問題と切り離して両国間の未来志向の協力を推進していきたいという立場を一貫して示してきた」と言及。この「ツー・トラック」のアプローチは、20年前に当時の金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相が発表した「韓日共同宣言―21世紀に向けた新たなパートナーシップ」の精神と軌を一にするとした。
文大統領は韓日中首脳会談に出席することで、「韓日間のシャトル外交も完全に再開されることになる」と指摘した。また、両国が気持ちの通じ合う真の友人になれるよう、大統領として最善を尽くすと表明。平昌冬季五輪のスピードスケート女子でメダルを競った後、互いをたたえた日本の小平奈緒選手と韓国の李相花(イ・サンファ)選手の名前を挙げ、「(2人の)美しい友情のように、韓日関係が発展していくことを願う」とした。
文大統領は10日で就任から1年を迎える。これまでの国政運営を振り返り、「頼もしい大統領になるため、渾身(こんしん)の努力を尽くしてきた」とし、「この先より長い道のりが待っているので、黙々と残りの道を歩んでいく」と述べた。また、「任期序盤に朝鮮半島平和のための新しい一歩を踏み出したいと思っていた。就任1年となる今、その最初の礎を築くことができ、幸い」として、一つ一つよく確かめながら、いつにもまして堅固な南北関係をつくると意欲をにじませた。
また、「国が正義に反せず、公正であるとき、国民は国を信じておのおのの夢をかなえることができる」と自身の政治信条を述べた。
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