北朝鮮 体制保証にこだわる理由は
【ソウル聯合ニュース】「われわれはリビアやイラクではない」――。
米国との「世紀の会談」を準備する北朝鮮が主張しているのはリビアやイラクのようには崩壊しないということだ。
見返りより核放棄を先行させる「リビア方式」に反発し、絶対に受け入れないとの立場を死守しているのもカダフィ政権が核を先に放棄したため、無残に崩壊したと考えているためだ。
米国のトランプ大統領や高官らが「経済的繁栄」を約束しても立場に変わりはない。米国の言葉だけを信じて核を放棄することはできないというのだ。
北朝鮮の金桂官(キム・ゲグァン)第1外務次官は先月16日、「米国の敵視政策と核の威嚇を終わらせること」が非核化の「先決条件」と表明し、核放棄を望むなら、体制保証措置を設けるよう求めた。崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官も同月24日、「リビアの前轍を踏まないために、われわれは高い代価を払って頼もしい力を育てた」と述べ、体制保証措置を求める立場を崩さなかった。
米国が求める「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」(CVID)に対し、北朝鮮が「完全で検証可能かつ不可逆的な体制保証」(CVIG)で対抗している背景にも体制保証への不安感がある。
元北朝鮮高官の脱北者は「イラクのフセイン氏やリビアのカダフィ氏は米国に対する警戒心を緩め、一方的な要求を受け入れたため崩壊したというのが北の指導部の認識で、核は放棄するものの、安全だと信じられる担保を同時に取りたい考え」と述べた。
北朝鮮が体制保証にこだわるのは、世界最強の軍事力を持つ米国による攻撃の可能性を懸念しているためだ。北朝鮮は約70年前、米国と朝鮮戦争を経験し、戦争への恐怖が根強く残っている。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)が4月27日の南北首脳会談で、「(武力の使用は)自分の手で自分の目を刺すことではないか」と述べたのも、戦争は政権の崩壊につながるとの懸念があるためとみられる。
北朝鮮が韓米合同軍事演習に敏感な反応を示すことも演習が単なる訓練ではなく、「北侵戦争」に発展しかねないとの不安があるためとみられる。
北朝鮮の消息筋は「金正恩政権発足後、前線の軍人に伝えられた規則の一つは上層部の承認を得ず絶対に(韓国軍側に)対応してはならないということ」として、「前線での偶発的な事故などが全面戦争につながることを恐れているため」と述べた。
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