北朝鮮・寧辺核施設への査察官復帰も 米朝が協議中
【ソウル聯合ニュース】12日に開催予定の朝米(米朝)首脳会談の準備を進める北朝鮮と米国が、両首脳が合意する北朝鮮非核化の最初の成果として、核兵器の原料を生産する北朝鮮の寧辺核施設を監視する査察官を1~2カ月以内に復帰させる方向で話し合っていることが8日、分かった。
北朝鮮に詳しい複数の消息筋によると、朝米は首脳会談の結果として発表する合意文書に、非核化と北朝鮮の体制保証の大まかな目標と共に、査察官を復帰させるという初期段階の措置を明記することを調整中だ。
そのために米国は国際原子力機関(IAEA)と、査察官の復帰について協議してきたとされる。朝米間が合意に至れば、約9年ぶりに査察官が訪朝する。査察官はウラン濃縮活動を含め北朝鮮が今後提出する核開発計画の申告内容を検証する一方、寧辺核施設を監視することになる。
北朝鮮は「段階的で歩調を合わせた」非核化措置を求めており、保有する核兵器については最終段階で扱いたい考えだ。査察官が訪朝した場合、まずは将来的に核となる核物質の生産施設の監視を主に担当するものとみられる。
寧辺核施設は、核検証を巡る韓米日と北朝鮮間の対立が深まりIAEA査察官が2009年4月に追放されたことで、現在まで国際社会の監視の外に置かれている。
北朝鮮の非核化の約束とその第一歩としての査察受け入れに対し、米国が引き換えに提供する初期段階の措置としては、トランプ米大統領が北朝鮮不可侵を口頭で約束することや朝鮮戦争の終戦宣言が重点的に検討されているようだ。
また消息筋によると、朝米は合意文書で北朝鮮の非核化と北朝鮮に対し米国が体制保証を終える目標期限を設定するかどうか、米国が求める「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」(CVID)を明記するかどうかなどでも大詰めの調整を図っている。
韓国政府の関係者や消息筋の話を総合すると、北朝鮮と米国は首脳会談の準備期間が短かったことなどから、この会談で非核化の全プロセスのロードマップ(行程表)を盛り込む、米国が主張する「一括妥結」方式の合意に達するのは事実上困難と判断したようだ。非核化と体制保証に言及する大まかな合意としておき、詳細は追って交渉することを話し合っている。
合意文書には、すべての核兵器と核開発計画を対象とする非核化、米議会の批准を伴う米国の北朝鮮不可侵の公約、朝米の国交正常化、朝鮮戦争休戦協定から転換される平和協定の締結などが記載される可能性が高いと伝えられた。
米国はCVIDを合意文書に明記し、その達成時期を2020年というように区切ろうとしたが、北朝鮮は難色を示している。韓国政府筋は、北朝鮮は非核化の期限を設けるならそれまで体制保証も不可逆的な形で保証されるべきとの立場で、会談前に調整がつかなければ会談で両首脳の決断に任せることになるとの見方を示した。
また、核弾頭と核物質、大陸間弾道ミサイル(ICBM)など北朝鮮の核兵器の重要な部分を数カ月以内に海外に一部搬出しようという米国の要求も、北朝鮮との折り合いがついていない。これも両首脳が最終決断する公算が大きいとされる。
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