北朝鮮の旧貨幣利用した国際詐欺が横行 韓国情報機関が注意喚起
【ソウル聯合ニュース】韓国と北朝鮮の和解ムードに乗じ、北朝鮮の旧貨幣を売りつける詐欺行為が東南アジアなどで横行していることが、21日までに明らかになった。
韓国の情報機関・国家情報院(国情院)によると、先月タイで500万ウォン分の北朝鮮旧貨幣を両替しようとして摘発されるなど、国際犯罪組織が北朝鮮の旧貨幣を大量に確保して密売しようとするケースが東南アジア一帯で発生している。
これらの犯罪組織は「北朝鮮の非核化合意で北朝鮮経済が発展すれば、莫大(ばくだい)な為替差益が予想される」として、北朝鮮の貨幣を市場価格より30~40%安く販売すると持ちかけて被害者に接近したと伝えられた。
だがこのような組織が販売しようとする貨幣は、ほとんどが北朝鮮が最後に貨幣改革を実施した2009年以前に発行されたものだという。これらの貨幣は外国での使用や両替ができないだけでなく、北朝鮮内部でも取引が中止されている。
このような詐欺行為は、東南アジアや中国を中心に次第に拡散している。
タイの韓国系事業家が、先ごろ現地人から北朝鮮貨幣2億ウォン分を買い取るよう提案を受けたほか、カンボジアでもブローカーらが北朝鮮貨幣を保有すれば北朝鮮の開放時に為替差益を得られると主張しているとされる。
また、中国から流入する北朝鮮貨幣が近ごろ税関で摘発された事例もあると伝えられた。
国情院の関係者は、韓国では北朝鮮の貨幣を保有することに対する拒否感が強く、このような詐欺の被害がすぐに広がる余地は少ないとしながら、「和解ムードに乗じて国際犯罪組織が在外同胞をはじめとする韓国人を詐欺のターゲットとする可能性が高く、注意が求められる」と述べた。
国情院は関係国の情報機関と協力し、北朝鮮旧貨幣の流入経路と背後の組織などを追跡する一方、外交部と協力して在外公館のホームページに注意を呼びかける案内文を掲載する方針だ。
北朝鮮の旧貨幣を利用した詐欺は、以前にもたびたび摘発されている。09年の北朝鮮の貨幣改革をきっかけに、朝鮮半島情勢に変化があった時に北朝鮮旧貨幣を買っておけば大きな利益が得られるとの触れ込みが広まった。
14年1月にはインドネシアで09年以前の北朝鮮貨幣が大量に流入し、現地人と韓国人を相手に両替を行おうとする動きがジャカルタの韓国大使館に通報されたこともあった。
また、15年4月にはエジプトでも北朝鮮の旧貨幣が大量に発見された。詐欺組織はカイロの韓国系住民をターゲットに旧貨幣を流通させようとしたが、韓国政府がこれを阻止した。
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