軍事境界線付近での敵対行為中止へ 南北が動き加速
【ソウル聯合ニュース】韓国と北朝鮮が、南北軍事境界線(MDL)と黄海上の軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)一帯での敵対行為をなくすための動きを加速させる見通しだ。南北は、多くの武器が配備され「朝鮮半島の火薬庫」も同然のMDLとNLL付近での敵対行為の中止こそが、全般的な南北関係の改善をけん引するとの認識で一致している。
NLL一帯では先月1日以降、南北警備艇間の通信システム(ホットライン)が毎日正常に稼働しており、黄海の軍通信線も回線状態は良好で意思疎通に支障はないという。南北が偶発的衝突を防ぐ最も基本的な軍事的信頼措置を取ったと評価されている。
これと関連し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、日本による植民地支配からの解放を記念する光復節の式典で行った演説で、「南と北はわれわれが住む地上、空、海での一切の敵対行為を中止することにした」と述べ、南北が軍事当局間の連絡チャンネルを復活させ、連絡を取り合っていることを説明した。
特に、「紛争の海」だった黄海は軍事的脅威が消え「平和の海」に変わりつつあり、さらには「共同繁栄の海」に向かっていると評価した。黄海の軍通信線と艦艇間ホットラインの正常稼働の意義を強調するとともに、「南北共同漁労水域」の設定などNLL一帯の平和地帯化に意欲を示した発言と受け止められる。
MDL一帯での敵対行為中止に向けても、南北が近く具体的な措置に合意するものと期待される。
南北軍事当局は、MDL上の板門店共同警備区域(JSA)の非武装化、MDLを挟む非武装地帯(DMZ)に設置された見張り所からの兵力と装備の試験的な撤収、DMZでの朝鮮戦争戦死者の遺骨の共同発掘などをMDL一帯での敵対行為中止に向けた先行措置と認識している。9月に北朝鮮・平壌で開催される南北首脳会談より前に、こうした措置に関する具体的な合意に至りたい考えとされる。見張り所からの試験的な撤収について、南北は3~4カ所の見張り所から互いに撤収する案を協議中だという。
南北はJSAの非武装化や見張り所からの撤収といった信頼醸成措置に合意した後、長距離砲や海岸砲、DMZ付近の最前線部隊を後方に下げるといった軍備縮小を巡り本格的な協議に入るとされる。
DMZ内では韓国軍が非常駐を含め約80、北朝鮮軍が約160の見張り所を運用しており、それぞれ重火器を配備している。JSAの警備を担う南北の軍人も、基本的に拳銃を所持している。
また、DMZには朝鮮戦争時の韓国軍戦死者約1万人、米軍戦死者約2000人の遺骨が埋まっていると推定されるが、遺骨の発掘に向けては地雷の除去が必要になる。正確な統計はないものの、DMZにはおよそ100万発の対人・対戦車地雷などが埋設されているとみられている。
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