文大統領「平和宣言」を手に帰国 非核化行程の加速に期待
【平壌(共同取材団)、ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が20日、3日間の北朝鮮訪問を終えて帰国した。
文大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)は19日午前、18日に続いて平壌で会談し、「平壌共同宣言」に署名した。宣言には朝鮮半島から核をなくすために必要な実質的な進展を速やかに図るとの内容が盛り込まれ、停滞している朝米(米朝)による非核化交渉が再び進展するか、世界が注目している。
また金委員長が年内にソウルを訪問することで両首脳が合意するなど、今回の訪朝を通じ、南北関係はさらに改善する見通しとなった。
文大統領は18日午前、黄海側の空路で北朝鮮入りし、平壌の空港で金委員長の出迎えを受けた。文大統領が訪朝したのは就任後初めて。
両首脳は4月27日と5月26日に軍事境界線のある板門店で会談しており、3回目の首脳会談となった。
両首脳は平壌の空港で行われた歓迎式典の後、オープンカーに乗って沿道の市民に手を振った。そして、到着初日の午後から首脳会談を開始した。
首脳会談では非核化、南北関係改善、軍事的緊張および戦争の脅威終結という三つの大きな議題がテーマとなった。
初日の18日には朝鮮労働党本部庁舎で約2時間にわたり会談が行われたものの、合意事項の発表はなかった。翌19日には金委員長が文大統領の宿泊先である百花園迎賓館を訪れ、約65分会談。2日間で合計約185分の会談の末、「平壌共同宣言」を発表した。
両首脳は最も難しい問題とみられていた非核化と関連し、「朝鮮半島を核兵器と核脅威がない平和の地にしていかなければならず、このため必要な実質的な進展を速やかに図っていくことで認識を共にした」と宣言に明記した。
また「北側は東倉里の(ミサイル)エンジン実験場やミサイル発射台を関係国の専門家たちの立ち会いの下で永久的に廃棄することにした」として、「北側は米国が朝米共同声明の精神に基づき、相応の措置を取れば、寧辺の核施設の永久的な廃棄のような追加的な措置を継続的に取っていく用意があることを表明した」との具体的な内容が盛り込まれた。
軍事的な緊張緩和については、「南北は非武装地帯をはじめとする対峙(たいじ)地域での軍事的な敵対関係の終息を朝鮮半島全域での実質的な戦争危険の除去や根本的な敵対関係の解消につなげていくことにした」とし、共に採択された「板門店宣言の履行に向けた軍事分野合意書」では「いかなる場合でも」武力を使用しないことで合意した。
青瓦台(大統領府)の尹永燦(ユン・ヨンチャン)国民疎通首席秘書官は19日午後の記者会見で、平壌共同宣言について、実質的な朝鮮戦争の終戦宣言と評価した。
南北関係の改善策については、「交流と協力をさらに拡大し、民族の経済をバランス良く発展させるための実質的な対策を講じていく」との内容が収められた。
宣言文の最後の項目には「金委員長は文大統領の招待により、近いうちにソウルを訪問する」と明記されたことで、南北首脳による定期的な会談が実現し、南北関係がさらに発展するとの期待が高まっている。金委員長の訪韓が実現すれば、南北分断後、初めて北朝鮮のトップが韓国を訪れることになる。
文大統領にとっては、3回目の首脳会談から、朝米首脳会談、年内の朝鮮戦争終戦宣言と続く非核化のためのロードマップ(行程表)に4回目の南北首脳会談が加わったことで、朝鮮半島問題の解決に向け、南北の協力が深まる様子を象徴的に見せる効果があるとの見方も出ている。
実際に文大統領と金委員長は3日間を通じて深い信頼関係を示した。金委員長が空港で文大統領を出迎えたことから始まり、19日にはマスゲームをともに鑑賞。文大統領はマスゲーム終了後、約15万人の観衆を前に演説を行った。韓国の大統領が北朝鮮の大衆に向けて演説したのは今回が初めて。
文大統領と金委員長は北朝鮮北部の中国との国境にある白頭山をそろって登頂し、3日間の日程を終えた。文大統領は国連総会に出席するため23日に訪米し、24日(現地時間)にトランプ米大統領と首脳会談する予定だ。
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