正恩氏のソウル訪問はいつに? 準備に苦心する韓国大統領府
【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と青瓦台(大統領府)が、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)によるソウル訪問の準備に苦心している。
韓米首脳が主要20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて1日(日本時間)に行った会談で、金委員長のソウル訪問は朝鮮半島の平和定着を勢いづかせるとの認識で一致したことで、訪韓実現の可能性は高まった。
文大統領と青瓦台が最も気にしているのは、金委員長の訪韓時期だ。朝米(米朝)高官協議が延期されるなど朝米の非核化交渉が進まないなか、南北首脳が9月の会談で約束した金委員長の「年内」の訪韓は難しいとの見方も出ているが、青瓦台は依然として年内に招きたい様子だ。
そのため、金委員長の今月18日ごろの訪韓が有力とも一部で報じられたが、青瓦台の尹永燦(ユン・ヨンチャン)国民疎通首席秘書官は5日、これを否定した。
今のところ、金委員長の訪韓は来年初めの開催が確実視される2回目の朝米首脳会談の前になる確率が極めて高くなったとの見方が有力だ。米国も、朝米首脳の再会談に先立つ金委員長のソウル訪問を念頭に置いているようだ。
ただ、訪韓の具体的な時期を決める上で最も重要なのは金委員長本人の決断だ。南北分断以降で初めての最高指導者によるソウル訪問となるだけに、北朝鮮側はその効果や警護問題などさまざまな要因を考慮し、時期を決定するとみられる。
金委員長の訪韓時期は、文大統領との4回目の南北首脳会談の議題にも関係してくる。
これまで、文大統領や青瓦台にとっては2回目の朝米首脳会談後に南北首脳が会う方が有利だとみられていた。文大統領と金委員長は過去3回の首脳会談で経済をはじめとするさまざまな分野での協力や南北関係の改善を約束したが、対北朝鮮制裁などが立ちはだかり、合意事項を思うように進められずにいる。
仮に朝米首脳が2回目の会談で非核化ロードマップ(行程表)を具体化し、対北朝鮮制裁の緩和問題にも踏み込んで一定の成果を出すことができれば、この結果を基に南北首脳が会談し、経済協力などを勢いづかせるシナリオを期待できる。
だが、朝米首脳会談の前に金委員長がソウルを訪問することになれば、文大統領と金委員長の4回目の首脳会談の議題は限られそうだ。成果も十分に得られないと懸念されるが、文大統領は「金委員長の訪韓そのものが世界に発信する平和のメッセージ」だとし、訪韓が実現するだけでも大きな意味があると語っている。
一部では、金委員長の訪韓が先であっても、文大統領が2回目の朝米首脳会談を前に双方の仲介に努めれば、朝米の非核化交渉を後押しできるとの見方もある。
時期や議題とは別に、金委員長のソウル訪問を準備する青瓦台が頭を悩ませているのが警護と儀典だ。金委員長の移動経路を組む上でも、訪韓に反対する保守団体の集会などを考慮せねばならない。
文大統領は9月の訪朝時に15万人ほどの平壌市民を前に演説しており、これに釣り合う象徴的なイベントをどう行うかも課題の一つだ。
青瓦台や与党は金委員長の国会演説などを検討しているとされるが、2010年の北朝鮮による海軍哨戒艦「天安」撃沈事件の犠牲者遺族への謝罪が先だと訴える保守系野党がボイコットする可能性があり、実現は不透明だ。
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