慰安婦被害者側 日本の「主権免除」に反論=韓国損害賠償訴訟
【ソウル聯合ニュース】韓国の旧日本軍慰安婦被害者が日本政府を相手取って起こした損害賠償請求訴訟の第2回口頭弁論が5日、ソウル中央地裁で開かれ、原告側は国際法上の主権免除の原則を理由に訴訟が却下されるべきとする日本の主張に反論した。
被害者のうち存命の11人と遺族6人は、2016年に日本政府に対し1人当たり2億ウォン(現在のレートで約1840万円)を賠償するよう求めたが、日本政府が訴状の受け取りを拒否。これに対し裁判所は「公示送達」の手続きを取り、昨年11月に提訴から約3年にしてようやく審理が始まった。公示送達とは、訴訟相手の住所が分からなかったり、相手が書類を受け取らず裁判に応じなかったりした場合に裁判所の掲示板や官報などに内容を掲載し、訴状が届いたと見なす制度。
日本側が主張する主権免除とは、ある国の裁判所が他の国を訴訟の当事者として裁判を行うことはできないとする国際法上の原則。第1回口頭弁論で、裁判所は被害者側に対して「主権免除論という大きな障壁を越える説得力のある方法を用意しなければならない」と指摘していた。
被害者側の代理人団はこの日、主権免除は不滅の法理ではなく、国際人権法の発展などにより免除される範囲が狭くなってきているとし、「重大な人権侵害の事案まで裁判できないというのは法秩序に合致しない」と主張した。
また「被害者の賠償請求権の実現は憲法における人間としての尊厳と価値の事後的な回復に該当する」とし、「原告の訴訟を却下するのは権利救済の実効性を否定し、憲法における人間の尊厳の価値を損なうもの」と指摘した。
その上で、代理人団は海外の事例として、第二次世界大戦中にドイツで強制労働させられたイタリア人が現在のドイツ政府を相手に賠償を求める裁判を起こし、イタリア最高裁がドイツの賠償責任を認める判決を下した例を紹介した。
代理人団は「今回の(慰安婦被害者)事件はアジアの女性に対する人権侵害で、ナチスよりもさらに重大な事件」とし、「主権免除の認定は慎重にするべきだ」と強調した。
次回の口頭弁論は4月1日に開かれる。
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