本屋大賞受賞の韓国小説「アーモンド」著者 「感情は普遍的テーマ」
【ソウル聯合ニュース】「人間なら誰でも持っている『感情』というテーマが幅広く普遍的だということを改めて知りました」――。
日本の書店員らが選ぶ「本屋大賞」の翻訳小説部門第1位に選ばれた小説「アーモンド」の著者、ソン・ウォンピョンさんは「この作品を初めて書いた時には、個人的な問いから始まった話がこうして海を越えて異国で愛されるとは全く想像できませんでした」と語る。
「作家として一番の願いは、この本を開いた読者が本を面白く読んでくれることです。そして、本に対する感想が面白さだけにとどまらず、自分自身と世界に起こる出来事に対する考えへと広がれば、この本が本来の機能を果たしたことになります」
本屋大賞でアジア圏の作品が受賞したのは、「アーモンド」が初めてだ。
2017年に第10回チャンビ青少年文学賞を受賞した同作は、19年3月に世界12カ国と版権契約を締結。韓国では25万部以上、日本でも約3万5000部を売り上げた。
「アーモンド」は、脳の扁桃体が人より小さく、感情を感じられない少年が他者と関係を結び、共感を学んでいく成長物語だ。ストーリーに引き込まれる文体とドラマのような描写や展開が際立つ。
「主人公のユンジェは、母親が経営していた古本屋の中で本の森を歩きながら成長していきます。感情は感じることはできませんが、本が与える香りと秘密めいた物語を味わうユンジェの姿が、本を愛する書店員の皆さんの心に届いたのだと思います」
ソンさんは「私たちは誰でも感情を持っていますが、その事実を認識できないまま生きていきます。また、感情を正しく使う方法を学べないまま毎日感情の渦の中で生きています」としながら、「感情は言語に先立つ最も基本的な意思疎通の手段ですが、それを正しく使うことは理性の領域だという点を、ユンジェを通じて思い起こしてみてほしいのです」と力を込めた。
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