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<文在寅大統領 就任3年特別演説の全文>

政治 2020.05.10 12:45

【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は就任から3年を迎える10日、青瓦台(大統領府)で国民に向け特別演説を行った。(非公式日本語翻訳)。

就任3年を迎え特別演説を行う文在寅(ムン・ジェイン)大統領=10日、ソウル(聯合ニュース)

 尊敬する国民の皆様、就任から3年となりました。 この3年間、ろうそくの念願を常に心に留めて国政を運営してきました。公正と正義、革新と包容、平和と繁栄の道を歩もうとしました。一日一日が薄氷を踏む思いでした。大変なときもたくさんありました。その度に国民の皆様から力と勇気をいただきました。国民の皆様に変わらぬご支持とご声援をいただき感謝してもしきれません。残りの2年間、さらに固い決意で国政に臨んでまいります。任期を終えるその瞬間まで、国民と歴史から与えられた使命を果たすために 重い責任感を持って全力を尽くしてまいります。

 国民の皆様、われわれは今、世界的な激変の真っただ中に立っています。目に見えないウイルスが世の中をすっかり変えてしまっています。われわれの日常を根本から変化させ、世界経済を前例のない危機に追い込んでいます。各国の経済社会構造はもちろん国際秩序にまで大きな変化を引き起こしています。

 避けたくても避けられません。 正面から当たって突破していくしかありません。「天は自ら助くる者を助く」といいます。 並々ならぬ覚悟と勇気をもって危機を突破してまいります。さらに、危機をチャンスに変えていきます。「チャンスは、見つける者に訪れ、挑戦する者に訪れる」といいます。

 国民と共に賢明に道を探り、大胆に挑みます。今の危機を新しいチャンスと発展の原動力にしてまいります。

 われわれの目標は「世界の中の大韓民国」を超越しています。われわれの目標は「世界をリードする大韓民国」です。われわれが念願としていた新しい大韓民国です。

 すでにわれわれは防疫において世界をリードする国となりました。K防疫は世界の標準になりました。大韓民国の国家としての地位と国民の誇りはいつにも増して高まっています。

 防疫当局と医療従事者の献身的な努力、大勢のボランティアの参加、連帯と協力の精神を遺憾なく発揮した国民の力です。

 われわれは国民の力で防疫戦線を固く守り、ウイルスとの戦争に勝ち抜いてきました。 国内状況が安定した状態に差し掛かり、防疫と日常が共存する新しい日常へと切り替えました。

 しかし、われわれは新型コロナ前に戻ったわけではありません。今回、遊興施設で発生したクラスターは、たとえ安定化段階であっても人々が密集する密閉空間であれば、いつ、どこでも同様の状況が起こり得ることを改めて思い知らせてくれました。終わる(終息する)まで終わりではありません。最後までさらに警戒を強め防疫の手綱を緩めてはいけません。

 とはいえ、恐れてその場に立ち止まる理由はありません。われわれが油断さえしなければ、われわれの防疫体制はウイルスの拡散を十分コントロール・管理できます。

 予期せぬクラスターが発生するとしてもわれわれは速やかに対応できる防疫・医療体制と経験を兼ね備えています。

 新型コロナウイルスの完全終息までには長い時間がかかると思われます。多くの専門家が予想している第2波にも備えなければならない状況です。しかし、それまで日常への復帰を遅らせるわけにはいきません。防疫が経済のスタート地点ではありますが、防疫が生計の問題まで解決してくれるわけではありません。

 政府は長期戦に臨む覚悟で新型コロナウイルスに抜け目なく対応してまいります。国民の皆様におかれましても日常に復帰しながらも最後まで防疫ルールをしっかり守ってくださるようお願いいたします。

 防疫と日常が共存する新たな挑戦が成功できるよう力を合わせてください。国民の皆様に成熟した力をもう一度発揮していただければ、日常への切り替えも世界の手本になると確信しています。われわれはすでにわが国の防疫と保健医療体制が世界のトップレベルであることを確認しました。 重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)の経験を生かして対応体制を発展させてきた結果です。防疫体制をさらに充実させて世界をリードする確実な防疫1位の国を目指してまいります。

 疾病管理本部を疾病管理庁に昇格させ専門性と独立性を強化します。専門人材の拡充および地域体制の構築を通じ不十分な地域の能力を補完していきます。 国会の同意を得て保健福祉部に複数次官制度の導入を進めたいと思います。感染症専門病院と国立感染症研究所の設立も推進します。公衆衛生医療体制と感染症への対応能力を画期的に強化し、 より安全な大韓民国を築いてまいります。

 専門家たちが今年の秋、または冬と予想している第2波への備えは喫緊の課題です。国会の速やかな協力をお願いします。

 国民の皆様、問題は経済です。今の経済危機は100年前の大恐慌になぞらえられます。世界経済は立ち止まっています。工場では生産を停止し、失業者が急速に増えています。国境が封鎖され、交流が途絶え、グローバルサプライチェーンが崩壊し、世界の貿易は大きく減少しています。大恐慌以来の最悪のマイナス成長に直面しました。底がどこなのか、いつ終わるのか、誰にもわからない状況です。

 わが国の経済が受ける被害も実に莫大なものです。4月の輸出が大幅に減少し、99カ月ぶりに貿易収支が赤字を記録しました。観光・旅行、飲食・宿泊業から始まったサービス業の萎縮が製造業の危機へと広がりつつあります。比較的堅調だった基幹産業や主力企業でさえ厳しさが増し緊急資金援助を要請するケースが増えています。雇用ショックも日増しに拡大しています。 失業の恐怖は零細・自営業者、非正規雇用、日雇い雇用にとどまらず正規雇用や中堅企業、大企業従業員にいたるまであらゆる方向へと広がっています。それこそ「経済戦時状態」なのです。

 この困難に耐えている国民の皆様に謹んでお見舞い申し上げます。政府は経済危機の克服に全ての力量を集中させます。瀬戸際に立たされた国民の手を取ります。国民の暮らしと仕事を守る支えになります。政府は大胆かつ速やかな非常措置により国内総生産(GDP)の10%を超える245兆ウォンを企業支援と雇用対策に投入しました。

 第1、2次補正予算に続き、第3次補正予算も準備しています。今後やってくるさらなる衝撃にもしっかりと備えてまいります。政府のできる限りのリソースと政策を総動員します。

 他国より早いコロナ禍の安定化と新たな日常への切り替えを経済活力を高める転機にしてまいります。消費喚起と観光回復の時期を早め投資活性化に積極的に乗り出します。製造業が活力を取り戻せるよう支援を強化し、委縮した地域経済を浮揚させる対策も速やかに推進します。国民の皆様にも経済の主体として防疫ルールを守りながら消費と経済活動を活発に行っていただきたいと思います。

 防疫と同様、経済危機の克服も国民の皆様に一丸となっていただければ成功できます。危機克服のDNAを持つ国民の皆様を信じています。政府は国民と共に経済危機の克服においても世界の手本を目指してまいります。

 尊敬する国民の皆様、新型コロナ後の世界経済の秩序は決してバラ色ではありません。われわれはウイルスを前にして国際の連帯と協力がどれほど脆いものかを目撃しました。現実は非常に厳しくなっています。各自で生き残る上での自国中心主義がさらに強まる恐れがあります。今まで世界経済を発展させてきたグローバル化における分業秩序が脅かされています。開放と協力により成長してきたわが国経済にとっても非常に重大な挑戦です。危機をチャンスに変えることができなければ生き残れません。先駆けて未来に備えなければならない絶体絶命の場面です。

 国民の皆様、私は残りの任期中に、国民と共に国難克服にまい進しながら危機をチャンスに変えることに全力を尽くします。世界をリードする大韓民国の道を切り開いてまいります。

 第一に、先導型経済でポストコロナ時代を開拓します。われわれはICT(情報通信技術)分野における優れたインフラと 世界1位の競争力を持っています。バイオ分野の競争力と可能性も確認できました。 非対面の医療サービスやオンライン教育、オンライン取引、防疫やバイオ産業などポストコロナの産業分野に強みを持っています。人工知能(AI)、ビッグデータなど第4次産業革命の技術を融合してデジタル経済をリードしていく十分な能力を備えています。

 革新的ベンチャーとスタートアップが主力になって世界をリードする「デジタル大国」へと大韓民国を飛躍させます。システムLSI(大規模集積回路)、バイオヘルスケア、未来の自動車の3大新成長産業をより強力に育成することで未来の成長エンジンを創出します。

 大韓民国は世界一安全で透明性を持った生産拠点となりました。今、世界は安価な人件費よりイノベーション能力や安心できる投資先を選び始めました。われわれにとっては絶好のチャンスです。韓国企業の国内回帰はもちろん海外の先端産業や投資を誘致するため果敢な戦略を推進してまいります。大韓民国が「先端産業における世界の工場」となり世界的な産業の勢力図を塗り替えます。

 第二に、雇用保険の適用を画期的に拡大し、国民就職支援制度を実施することで わが国の雇用セーフティーネットのレベルを一段階高めます。失業と生計の脅威から国民の皆様の暮らしを守ってまいります。人類の歴史は危機に瀕した際に 福祉を充実化し、セーフティーネットを強化してきました。

 米国は大恐慌を経て社会保障制度の基盤を作り、わが国はアジア通貨危機を経験して基礎生活保障制度の導入を前倒ししました。今の新型コロナウイルスの危機は、依然として脆弱なわれわれの雇用セーフティーネットをさらに強く構築することを要求しています。すべての就労者が雇用保険の恩恵を受ける「全国民雇用保険時代」の基礎を築きます。まだ加入していない低賃金の非正規労働者たちの雇用保険加入を早急に推進し、特殊雇用労働者、プラットフォームワーカー、フリーランサー、アーティストなど雇用保険の死角地帯を速やかに解消してまいります。自営業者に対する雇用保険の適用も社会的合意を得て徐々に拡大してまいります。

 雇用セーフティーネットの充実化は、わが国経済のダイナミックさのためにも欠かせない課題です。法律と制度を整備して雇用保険の対象を段階的に拡大していきます。国会の共感と協力が非常に重要です。立法による支援をお願いいたします。

 また、韓国型の失業扶助制度である国民就職支援制度を早急に実施します。国民就職支援制度は低所得層、若年層、零細・自営業者などに対して職業訓練など各自に合わせた就労支援を行い、求職促進手当などの所得支援を行う制度です。

 雇用保険が第1次雇用セーフティーネットであるならば、国民就職支援制度は第2次雇用セーフティーネットです。就職活動をしているか長期間失業状態にある国民のためには欠かせない雇用セーフティーネットです。経済社会労働委員会の合意を得てすでに国会に法案を提出しています。 国会での速やかな処理をお願いします。

 第三に、雇用創出のための「韓国版ニューディール」を国家プロジェクトとして推進します。政府は新しい働き口を作って国民に新たなチャンスを提供してまいります。

 韓国版ニューディールはデジタルインフラを構築する未来を先取する投資です。5Gインフラの早期構築とデータを収集・蓄積・活用するデータインフラの構築を国家的事業として推進します。医療、教育、流通など非対面ビジネスを集中育成し、都市と産業団地、道路と交通網、老朽化した社会インフラなど国家基盤施設に人工知能とデジタル技術を融合してスマート化させる大規模な雇用創出事業も積極的に展開します。その過程で個人情報の保護はもちろん医療と教育の公共性確保という重要な価値が十分守られるようバランスをとって推進してまいります。

 政府は新たな雇用を創出するために公共投資を拡大し、民間協力を強化します。危機克服と共に先導型経済へとシフトする足掛かりを作ります。大胆でクリエイティブな企画と迅速かつ果敢な執行により良質な新規雇用の創出に積極的に取り組んでまいります。

 第四に、人の命と安全を優先する連帯と協力の国際秩序をリードしてまいります。われわれが防疫で示した開放・透明性・民主の原則とクリエイティブな方式は世界的な成功モデルとなりました。韓国社会全体が共に作り上げたものです。 ボランティアに参加して寄付する行動、連帯して協力する精神は大韓民国の国の品格となりグローバルなリーダーシップの根源となっています。国際社会の高い評価はわが国外交の地平を大きく拡大させました。わが国が国際協力の中心に位置するようになり、主要20カ国・地域(G20)、東南アジア諸国連合(ASEAN)+3(韓中日)など多国間外交の舞台でも大韓民国の地位は驚くほど高まりました。

 このチャンスを積極的に生かしてまいります。防疫の成功に基づいて「人間の安保(Human security)」を中心に置き ポストコロナ時代における国際協力をリードしてまいります。今日の安保は伝統的な軍事安保から災害・疾病・環境問題など、安全を脅かす全ての要因に対応する「人間の安保」に拡大されました。あらゆる国が連帯と協力により力を合わせてこそ対応できるものです。

 北東アジアやASEAN、全世界が連帯と協力により 人間の安保という共同の目標に向けて進むことができるよう、主導的な役割を果たしてまいります。 南と北も人間の安保で協力して一つの生命共同体となり、 平和共同体への前進を希望しています。

 敬愛する国民の皆様、ウイルスとの厳しい戦いを経験して国民は大韓民国を再発見し始めました。「すでにわが国は先進国」と言い始めました。われわれが見習いたかった国々がわれわれを習い始めました。われわれが一標準となり、われわれが世界になりました。今や大韓民国の偉大さについて語り始めました。国民自ら築き上げた偉大さです。譲り合って思いやり、連帯して協力しました。危機の瞬間により強くなりました。 国民が偉大だったのです。国民の皆様を心から誇りに思います。

 危機は終わっておらず、さらに大きな挑戦が残っています。政府はより重い責任を持って臨んでまいります。危機を最も早く克服した国になります。世界の手本となり、世界をリードする国になります。 新しい大韓民国として世界で確かな存在感を発揮します。

 任期の最後まで偉大な国民と共に大胆に進んでまいります。

 ご清聴ありがとうございました。

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