北朝鮮の長距離砲に備え迎撃能力強化 軽空母建造にも着手=韓国国防中期計画
【ソウル聯合ニュース】韓国の国防部は10日、2021~25年の国防中期計画を策定したと発表した。北朝鮮の弾道ミサイルと米軍主導の韓米連合軍が持つ有事作戦統制権の韓国軍への移管に備えるため、監視・偵察能力を強化するほか、北朝鮮による韓国の首都圏攻撃の中心戦力となる長距離砲に対応した韓国版対空防衛システム「アイアンドーム」の構築に向けた開発に着手するなど、迎撃能力の強化にも取り組む。
中期計画によると、21年からの5年間に総額300兆7000億ウォン(約26兆8200億円)を投入する。今年50兆ウォンを超えた国防予算は24年には60兆ウォンを突破する。年平均の増加率は6.1%となる。
防衛力の改善は朝鮮半島全域の状況をリアルタイムで把握するため、監視・偵察能力を大きく向上させることに焦点が当てられた。韓国防空識別圏(KADIZ)を含む朝鮮半島全域の通信情報を24時間体制で探知できる空中信号情報収集体系を新たに確保する方針だ。北朝鮮の信号(傍受)情報を収集する偵察機RC800の能力を高めるとみられる。
また、軍事用偵察衛星、国産の中高度無人偵察機などを戦力化し、超小型偵察衛星の開発にも着手する。超小型偵察衛星は韓米ミサイル指針の改定により、開発が可能になった固体燃料ロケットで打ち上げる計画だ。
ミサイル戦力を大幅に強化するとともに、敵のミサイルを探知し迎撃するシステムも高度化する。ミサイル探知距離が拡大した弾道弾早期警戒レーダーとイージス艦搭載レーダーを構築し、ミサイル探知能力を現行の2倍以上に強化する。地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)と今年末に戦力化する中距離地対空ミサイル「チョルメ2」の改良型を追加配備し、長期的には長距離地対空誘導弾(LSAM)量産事業などに着手する。実現すれば現行の約3倍の迎撃ミサイルを保有することになる。
北朝鮮の長距離砲から首都圏と重要施設を防衛する長距離砲迎撃体系の開発にも乗り出す。いわゆる「韓国版アイアンドーム」で、20年代後半にも戦力化する。
3万トン級の軽空母導入事業も公式化した。来年から基本設計に着手し、30年代前半の戦力化を目指す。「自主国防」の強化が進められ、軽空母級輸送艦は軍事偵察衛星、次世代潜水艦とともに主導的な安保能力の強化に向けた主要戦力となる。昨年の中期計画では「多目的大型輸送艦」の建造としていたが、中国や日本など周辺国の海軍力強化を受け、「海上の軍事基地」の役割を担わせる狙いとみられる。
国防部が公開した予想グラフィックをみると、軽空母は米軍の強襲揚陸艦アメリカに似た外観になるとみられる。軽空母に離着陸できる戦闘機はF35Bが唯一で、約10機の搭載が可能とされる。
4000トン級の潜水艦の建造計画も初めて公開された。現在は3000トン級の次世代潜水艦「張保皐3」の建造事業が進められているが、初の4000トン級の潜水艦を国産技術で建造する方針だ。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)など武装能力も大幅に強化される。
空軍の主力戦闘機F15Kには国産技術で開発したアクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーを搭載する性能改良を推進する。AESAレーダーの情報処理能力は機械式レーダーより1000倍速く、戦闘能力は3~4倍優れるとされる。
兵士の減少など変化する安保環境への対応としては、小型偵察ロボットや無人捜索車両、超小型無人機など「有・無人複合戦闘体系」を構築する。
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