韓国政府が4回目の少子化対策 乳児手当や育児休業給付金など
【ソウル聯合ニュース】韓国政府は2022年から0~1歳の子供を持つ親に月30万ウォン(約2万8500円)の手当を支給し、2025年までに金額を50万ウォンに引き上げる。
また出産すれば200万ウォンを一時金として支給するほか、夫婦共同の育児を支援するため満1歳未満の子供を持つ両親が3カ月ずつ育児休暇を取得した場合、双方に月最大300万ウォンの休業給付金を支払う。
さらに低所得世帯の第3子以降の子供については、大学の入学金を全額支援し、多子の基準を3子から2子に変更する案も推進する。
韓国政府は15日、このような内容を盛り込んだ第4次少子・高齢社会基本計画を策定した。この計画は来年から25年まで推進される人口政策の基盤になる。
◇児童手当に加え乳児手当を支給 2025年には50万ウォンに
韓国政府は子育てに必要な費用を支援するため22年から乳児手当を導入する。
すべての満0~1歳の子供を持つ親に毎月一定の手当を支給するもので、現在満7歳未満に支給される「児童手当」(月10万ウォン)とは別に支援する。導入初年の22年は30万ウォンからスタートし、25年までに段階的に50万ウォンに引き上げる。
現在、乳児については保育園を利用した場合、利用料が全額支給され、家庭で過ごす場合は養育手当(0歳月20万ウォン・1歳月15万ウォン)を支援するが、今後、乳児手当を受け取る親は用途を自ら決めることができる。乳児手当には5年で3兆ウォンが投じられる見通しだ。
出産時に200万ウォンを支給する制度も22年に導入される。支援金の使用用途には制限がない
妊婦に支給され、医療費などに使用できるデビッドカード「国民幸福カード」の限度額も60万ウォンから100万ウォンに引き上げる。出産一時金と国民幸福カードを合わせ、医療費や初期育児費用に計300万ウォンが支払われる。
韓国政府は子供と過ごす時間を保障するため19年に10万5000人程度だった育児休暇取得者25年までに20万人に増やすことを目指し、新たな育児休暇制度を作ることを決めた。
生後12カ月未満の子供がいる両親が3カ月ずつ育児休暇を取得すれば、それぞれに月最大300万ウォンを支給する。夫婦が同時に3カ月育児休暇を取得した場合、1カ月に2人で最大600万ウォン、計1800万ウォンが支払われる。
保健福祉部は「ドイツは最近、育児休暇の取得を積極的に勧め、出産率を引き上げることができた」とし、「以前よりも多くの育児費用や生活費を確保することができ、男性の育児休暇の取得が増え、女性に偏っていた育児の負担を解消する効果もあるだろう」と期待した。
◇低所得世帯は第3子以降の入学金を免除
多子世帯に対する支援も拡大する。25年までに多子世帯専用の賃貸住宅2万7500戸を供給し、公共賃貸住宅居住中に多子(2子以上)になれば、一段階広い物件に転居する優先権が与えられる。
各種支援策の基準になる多子を現在の3子から2子に変更する案も推進する。
低所得世帯の第3子以降の子供については、大学の入学金を全額支援する。
また国公立の保育園を毎年550カ所ずつ作り、5年後の利用率を50%にする計画だ。
女性が結婚・出産により、不利益を受けることなく、経歴を維持して成長することができるようにするための様々な仕組みも導入される。
企業が採用や役職、賃金などの面における男女差の情報を公開するよう義務付けるほか、性差別やセクハラの被害者を実質的に保護するため労働委員会を通じての懲罰的損害賠償制など救済手続きも新設する。
◇すべての世代が共に幸せな持続可能社会を目指す
韓国政府は少子化によって余った予算を少子高齢化対策に優先的に投じると説明した。
今回の対策を主導した大統領直属の少子高齢社会委員会は、合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子どもの推定人数)が0.92にまで下がったことに関連し、「少子化は問題というよりは『結果』という側面で見なければならない」とし、「不安定な雇用と高い住居費用、過度な競争、仕事と育児を両立できない社会構造で、多くの若者世代が結婚や出産に難しさを感じ、必須なことと考えなくなった」と指摘した。
また「少子化をある程度克服した欧州の主要国の場合、出産率の安定化に通常約20年かかり、この過程で相当な投資をした」とし、「少子化を深刻かつ重く受け止めるものの、社会構造的要因の改善に集中し、生活の質を高め、未来に対する肯定的な展望を回復することができるようにする」と話した。
委員会は第4次基本計画のビジョンを「すべての世代が共に幸せな持続可能な社会」とした。
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