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慰安婦被害者の証言つむいだ韓国の小説 米で翻訳本増刷

記事一覧 2021.02.16 10:19

【ニューヨーク聯合ニュース】旧日本軍慰安婦の被害者の証言を基にした韓国人作家キム・スムの長編小説「ひとり」の英訳版が米国で増刷される。同作品を「One Left」として翻訳したカナダ・ブリティッシュコロンビア大(UBC)教授のブルース・フルトン氏とジュチャン・フルトン氏夫妻が15日(現地時間)、聯合ニュースのオンラインインタビューに応じ、出版元のワシントン大出版部から第2刷の計画を伝えられたと明らかにした。 

翻訳者のフルトン夫妻=(聯合ニュース)

翻訳者のフルトン夫妻=(聯合ニュース)

 「ひとり」は生存する慰安婦被害者がひとりになった日から始まる物語で、慰安婦問題を正面から取り上げた最初の長編小説に挙げられる。ソウル近郊に暮らす90代の慰安婦被害者の女性が13の年に満州に連れて行かれて体験したことを回想するもので、小説の形を取っているがドキュメンタリーを見るように迫ってくる作品と評されている。著者はできる限り事実に近づけ被害者の体験を伝えようと、300を超える被害者の証言を2年余りかけて読み込んだ。

 一方、英訳版の出版は容易でなかった。フルトン夫妻は長らく英語圏に韓国文学を紹介してきた実績を持つが、米国の30以上の出版社から出版を断られた。一様に「とても真剣で重要な作品だ」としながらも遠回しに断ってきたのは、慰安婦被害者を扱っている点に負担を感じたのだろうと夫妻は話す。

 根気強く出版社を回り、ようやく出版にこぎつけたが、新型コロナウイルス感染症のあおりで本の宣伝はままならなかった。米国の主要紙も書評を掲載しようとしなかった。

 フルトン夫妻は各地域のブッククラブや韓国文学に関する大学の講演などを通じて作品の紹介に努めた。韓国文学の講座でこの作品を教材として取り上げた大学もある。

 ブルース・フルトン氏は「この小説の目的は過去の痛みをほじくりかえすのでなく、被害者を癒すことにある。著者はまるでこの世とあの世をつなぐ巫女(みこ)のように、歴史の中に忘れ去られようとする被害者をつなぎとめ、傷をそっとさすった」と述べた。20万人に上るとみられる慰安婦被害者を癒すため、米国でキム・スム氏の作品を紹介したいという。

米国で出版されたキム・スム「ひとり」の英訳版(ワシントン大出版部)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫

米国で出版されたキム・スム「ひとり」の英訳版(ワシントン大出版部)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫

mgk1202@yna.co.kr

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