北朝鮮 対韓国窓口機関の廃止に言及=遠ざかる南北関係回復
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が8日に始まった韓米合同軍事演習に反発し、南北当局の対話窓口となっている祖国平和統一委員会の廃止にまで言及したことで韓国との関係悪化は避けられない見通しとなった。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)の妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長を通じ、最高指導者の意思を北朝鮮住民にも公表したため、追加的な措置を取る可能性があり、南北関係の改善はさらに遠ざかるとみられる。
金与正氏は16日に談話を出し、韓米合同軍事演習を「同族を狙った侵略戦争演習」と非難し、「3年前の春に戻ることは難しい」と述べた。3年前の2018年は2月に韓国で開催された平昌冬季五輪を機に南北融和が進み、4月と5月には南北首脳会談が開かれた。
また、「存在する理由がなくなった祖国平和統一委員会を整理する問題」を検討すると警告した。
祖国平和統一委員会は内閣の機関で、委員長だった李善権(リ・ソングォン)氏が外相に任命された後、後任が公表されないなど事実上、有名無実の状態だった。同機関の象徴性を考慮すれば、廃止は韓国当局との対話を中止するとのメッセージとみられる。
金与正氏は「われわれを敵とする南朝鮮当局とは今後いかなる協力や交流も必要がないため、金剛山国際観光局をはじめとする関連機関もなくすことを検討している」とし、南北交流・協力の中止も示唆した。
新型コロナウイルスの影響により、南北の民間交流は事実上ストップしているが、今後も交流・協力を行わない方針を表明したものとみられる。
談話は北朝鮮の全住民が目にする朝鮮労働党機関紙の労働新聞の2面にも掲載されたことから、単なる警告ではなく、実質的な行動を取る可能性がある。
南北関係を巡っては、北朝鮮が昨年6月、南北の通信連絡線を一方的に遮断しており、祖国平和統一委員会や韓国との交流・協力機関を廃止する場合、南北関係は悪化の一途をたどるしかない。
専門家らは談話で示した韓国へのメッセージと米国へのメッセージに温度差があることに懸念の声を上げている。金与正氏は米国に対し、「今後4年間、安心して眠ることが望みなら、初めから眠れない材料をつくらないほうが良い」と述べ、対韓メッセージに比べトーンを抑えた。
統一研究院のキム・サンギ研究委員は「対米メッセージは党大会で示した『(相手の出方次第で対応を変える)強対強、善対善』の立場を維持していることを表すもの」として、「米国の対北政策が発表されるまで見守るという立場とみられる」と分析した。
北朝鮮は韓国を通じ、米国との非核化交渉の解決を目指したが、2019年の米朝首脳会談が物別れに終わったことを受け、バイデン政権に対しては韓国を排除して米国と対話する過去の戦略「通米封南」に回帰する可能性があるとの見方も出ている。
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