サムスントップの赦免請願広がる 宗教界・国民からも
【ソウル聯合ニュース】世界で半導体市場の競争が激化し、新型コロナウイルスのワクチン確保にも追われる中、韓国で財界を中心にサムスングループ経営トップ、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長の赦免を求める声が広がっている。
李氏は朴槿恵(パク・クネ)前大統領らへの贈賄罪などに問われ、1月に差し戻し控訴審で懲役2年6カ月の実刑判決を受け、服役している。
韓国経営者総協会と大韓商工会議所、中小企業中央会、韓国貿易協会、韓国中堅企業連合会の5団体は来週中に李氏の赦免を要請する請願書を政府に正式に提出する方針だ。請願書は「経済が厳しく、世界の半導体市場の競争が激しくなる中、李副会長の不在が韓国経済に否定的な影響を与えている」として、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に赦免を求める内容が盛り込まれた。
李氏の赦免を求める声は宗教界などにも広がっている。韓国最大の仏教宗派、大韓仏教曹渓宗の25の教区の住職は12日、善処を求める嘆願書を文大統領と朴炳錫(パク・ビョンソク)国会議長、丁世均(チョン・セギュン)首相(当時)宛てに送った。嘆願書では「李副会長にもう一度チャンスを与えることを願う」と求めた。
青瓦台(大統領府)ホームページにも李氏の赦免を求める請願が相次いで投稿されている。今月だけでも13件の請願が寄せられた。ある請願では「サムスンが韓国経済に占める役割と重さを考慮しなければならない。コロナ危機を克服し、経済をリードする役割を果たせるよう、李副会長がオーナーシップを発揮できるチャンスを与えるべきだ」として、特別赦免を求めた。
来月の韓米首脳会談を控え、サムスン電子の米国への半導体投資と米国からの新型コロナウイルスのワクチン導入を結びつける「ワクチンスワップ」が政財界を中心に取り上げられ、李氏の赦免を検討するよう求める主張も出ている。
だが、政府と与党は慎重な姿勢を示している。朴範界(パク・ボムゲ)法務部長官は李氏の仮釈放と赦免について「検討したことはない」とし、丁前首相は「コンセンサスを得ているといえない」と否定的な反応を見せた。
サムスンとしても歓迎ばかりではなく、懐疑的な見方もある。トップの不在で米国と国内の半導体投資決定が遅れており、一日も早い経営復帰を望んでいるが、赦免が別の足かせになる可能性もある。バイデン米大統領は「ワクチン外交」を進め、ワクチンを外交カードの一つに使うとみられる。こうした中、赦免という恩恵を受けた李氏とサムスンが米国への追加投資など、別の「手土産」を要求される場合は難しい状況に陥りかねない。
李氏はグループの経営権継承に絡み、業務上背任などの罪に問われて別の裁判が始まっており、赦免を受けたとしても再び実刑を言い渡される懸念も排除できない。
財界関係者は「5団体の正式請願を受け、政府も本格的に赦免の是非を検討するのではないか」とした上で、「ただ、赦免は政府の戦略的な決断がないと容易ではない問題のため、さまざまな側面が多角的に考慮されると思う」との見通しを示した。
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