韓国情報機関 スパイ捜査権の警察への移管などで組織再編
【ソウル聯合ニュース】韓国情報機関の国家情報院(国情院)の朴智元(パク・チウォン)院長は4日、国情院を訪れた文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対し、国情院改革の成果や未来発展策を報告した。青瓦台(大統領府)が伝えた。
報告には、関連法の改正により国情院の業務内容から国内情報活動が外されたことを受け、国情院の組織体系の再編などが盛り込まれた。
文大統領が2017年の就任後、国情院を訪れたのは2回目。
韓国では国情院の政治介入などが問題視され、文大統領は国情院など権力機関の改革を公約に掲げた。文政権発足後、国情院の職務範囲などを定めた国情院法の改正を進め、昨年12月、国情院の脱政治化などを柱とする改正国情院法が成立。今年1月に施行された。
改正国情院法は、スパイ活動など共産主義活動の捜査を行う「対共捜査権」の警察への移管、政治への関与が懸念される組織の設置禁止などを柱とする。
改正法の成立を受け、国情院は内部で組織再編などを行ってきた。
朴氏は業務報告で「国情院は政治と完全に絶縁し、北と海外の専門情報機関として生まれ変わろうとしている」とし、「北と海外分野で比類のない情報能力を備え、サイバー安保・宇宙情報などの分野を積極的に切り開く」と述べた。
◇国内情報活動を廃止 組織全般を再編
国情院は国情院法改正により、国内情報活動が業務から廃止され、防諜、対テロ、サイバー、宇宙情報などと関連した業務および機能を具体化したと報告した。
これに伴い、組織体系全般を再編した。これまでの1次長(北朝鮮・海外)・2次長(対テロ・防諜)・3次長(サイバー)体制を維持するものの、傘下組織および役割を新たな業務に合わせて調整した。
また国情院は運営の透明性を高めるため弁護士の資格を持つ順法支援官が業務の全過程で法が守られているか確認すると説明した。
そのほか、1980年に韓国南西部・光州市で民主化を求める大規模なデモが起こり、軍の発砲で多くの犠牲者が出た「5・18民主化運動(光州事件)」や、2014年に全羅南道・珍島沖で旅客船セウォル号が沈没した事故など、過去の事件や事故の資料提供など、国民に対する情報サービスを拡大しているという。
◇警察との捜査協力を試験運用 対共捜査権を完全移管へ
法改正に伴い、国情院が持っていた対共捜査権は2024年1月に警察に完全に移管される。国情院の前身「中央情報部」が1961年に設置されてから63年での移管となる。
国情院は対共捜査権を支障なく移管することを目標とし、今年から警察との合同捜査を進めるとともに、新たな捜査協力体制を試験運用することを決めた。
朴氏は4月、記者団に対し、現在進行中の対共捜査も警察が射手で、国情院は助手という方式で協力していると説明した。
◇科学情報の能力を強化 AI、ビッグデータ分析システム構築
国情院は今後AI(人工知能)、ビッグデータをもとにした分析システムを構築しサイバー分野や映像など科学情報能力を強化する方針だ。また宇宙情報能力を備えるという内容も今後の業務方針に含まれた。
「24時間体制で対北・海外情報網を稼動し、朝鮮半島の平和維持とグローバル安保への対応のための情報支援をしている」と説明した。
yugiri@yna.co.kr