強制徴用扱った日本人の著書 韓国で相次ぎ翻訳出版
【ソウル聯合ニュース】韓国で光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)を15日に控え、植民地時代の強制徴用問題に焦点を当てた日本人著者の書籍が相次いで翻訳出版され、関心を集めている。
日本弁護士連合会憲法委員会委員を務める内田雅敏氏の著書「元徴用工 和解への道―戦時被害と個人請求権」は、韓国で「強制徴用者の質問」とのタイトルで12日に出版された。
著者は本書で、1965年に締結された韓日基本条約・請求権協定は修正、補完されるべきだと指摘する。
日本政府は請求権協定に強制徴用者問題が含まれているため、この問題は解決済みだと主張しているが、著者は韓日請求権協定の強制労働被害者への補償に関する条項は国家間の「外交保護権放棄」に関する内容だったにすぎず、個人の請求権そのものは存在するとしている。
また、請求権協定には植民地支配の清算という問題意識が抜け落ちており、旧日本軍の慰安婦問題、強制動員被害者の問題などは当時全く議論されなかったと主張する。
植民地支配の清算といった歴史問題の解決に向けては加害者が加害の事実と責任を認めて被害者に謝罪すべきだが、韓日請求権協定ではそれが全く行われなかったと著者は指摘している。
著者は、戦時中に日本企業に強制連行された中国人被害者らに対する賠償問題の解決策を韓国の強制徴用者問題にも適用できると提案する。三菱マテリアルと元中国人労働者側の和解(2016年)などを挙げながら、日本が加害の事実を認め、和解金を支払い、過ちを繰り返さないために歴史教育を行った事実を例示。その上で、日本が中国人強制労働問題に対しては解決に積極的な態度を見せる一方、韓国の強制徴用者問題からは目を背けていると指摘しながら、中国人への補償策を韓国にも適用すべきだと訴えている。
強制労働犠牲者の遺骨返還の記録を記した北海道の一乗寺住職、殿平善彦氏の著書「遺骨 語りかける命の痕跡」は、韓国で「70年ぶりの帰郷」とのタイトルでこのほど出版された。日本による植民地時代に北海道に強制連行されて働かされ、この世を去った後も故郷に戻れないまま同地に葬られた人々の物語をつづっている。
著者によると、北海道のダム工事現場で監禁・強制労働が行われており、多くの朝鮮半島出身者が命を落とした。過酷な労働実態を伝える目撃者の証言も多く収められている。
著者は、強制労働などによって死亡した朝鮮半島出身者115人の遺骨を韓国に返還するまでの過程も淡々とした筆致で伝えている。
tnak51@yna.co.kr