IOCの不興買った北朝鮮 財政支援中断で大きな損失
【ソウル聯合ニュース】東京五輪不参加で国際オリンピック委員会(IOC)の不興を買った北朝鮮が、資格停止の懲戒処分を受けることになった。IOCのバッハ会長は9日、理事会後の記者会見で、北朝鮮オリンピック委員会に対し2022年末までの資格停止処分を科すと明らかにした。
これにより、北朝鮮は22年2月に中国・北京で開催される冬季五輪に国家資格で参加できなくなった。出場権を獲得した北朝鮮の選手は、個人資格で中立国所属として五輪の舞台を踏む。
アジア・オリンピック評議会(OCA)が主催する22年アジア大会(中国・杭州)にも、北朝鮮は国旗の代わりに五輪旗を掲げて参加する可能性が高い。
北朝鮮はIOCに加盟する206の各国・地域オリンピック委員会(NOC)で唯一、東京五輪に選手を派遣しなかった。世界的な新型コロナウイルス流行から選手を保護するという理由で東京五輪への不参加を決め、4月上旬に体育省が運営するホームページでこの決定を伝えた。
新型コロナの変異株が急速に広がる中でも東京五輪の開催を推し進めたIOCは、全てのNOCの五輪参加という方針に唯一従わなかった北朝鮮に不満を抱いた。スポーツ界の関係者によると、バッハ会長は五輪中、計画を乱した北朝鮮に対する不快感を示したとされる。IOCの機嫌を損ねた北朝鮮オリンピック委員会は結局、五輪への選手団派遣を義務付けた五輪憲章に違反したとの理由で資格停止処分を受けることになった。
資格停止に伴う財政支援の中断は、北朝鮮にとって大きな損失となる。
北朝鮮は資格停止期間、IOCからいかなる財政支援も受けることができない。また、IOCは国際社会の制裁に伴い北朝鮮への支払いが保留されていた過去の五輪の出場配当金を没収する。金額は公表されていないが、AP通信は没収額が数百万ドル(100万ドル=約1億1000万円)に上ると予想している。
IOCはこれまで、発展途上国の選手のトレーニングをサポートする基金で北朝鮮を支援してきた。
14年には、国連の対北朝鮮制裁の範囲内で北朝鮮の選手が18年平昌冬季五輪への出場資格を得られるよう支援する特別プログラムを設計し、16~17年に北朝鮮と踏み込んだ対話を行った。このプログラムのおかげで、北朝鮮の冬季スポーツの有望選手は国外でトレーニングするなどして世界との差を縮めることができた。だが、資格停止期間にIOCの支援金が途絶えれば国外でのトレーニングは難しくなりそうだ。
北朝鮮の態度によっては、資格停止期間がさらに延びる可能性もある。
資格停止期間は22年末までの1年3カ月にすぎない上、冬季五輪に国家資格で参加できないことは北朝鮮にとってさほど大きな打撃ではない。
北朝鮮を代表して冬季五輪に出場した選手は10年のバンクーバー大会が2人、18年の平昌大会が10人にとどまった。14年のソチ大会は0人。平昌大会時の北朝鮮のアイスホッケー女子選手は韓国の選手との合同チームの所属に分類される。
AP通信は、IOCが北朝鮮の姿勢の変化を見極めた上で懲戒期間の延長などを検討する見通しだと伝えている。
大韓体育会(韓国オリンピック委員会)の関係者は、北朝鮮は18年のアジア大会以降、国際大会にほとんど選手を派遣せず、南北のスポーツ対話・交流も19年2月ごろを最後に止まっていると説明し、「北がIOCなどの国際団体と対話を再開してこそ、資格停止問題も解決するだろう」と見込んだ。
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