妻に息子に… 大統領選を揺るがす与野党候補の「家族リスク」=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国で来年3月に実施される大統領選で、与野党有力候補の「家族リスク」が顕在化している。保守系最大野党「国民の力」候補、尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長の妻キム・ゴニさんの経歴詐称疑惑が収まらないなか、16日には革新系与党「共に民主党」候補、李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事の息子の違法賭博疑惑も報じられた。
両氏とも謝罪のメッセージを発表して事態の収拾に努める一方、相手側の家族の疑惑に対しては批判を強めている。ただ、李氏側はすぐさま報道内容を認めたのに対し、尹氏側は低姿勢で応じながらも事実関係の把握が先だとの立場を示した。「公正」を求める20~30代の若年層の民心がどう動くかは見通せない。
16日付の大手紙・朝鮮日報は、李氏の20代の長男とみられる人物が2019年1月から20年7月にかけオンラインポーカーのコミュニティーサイトに約200件の書き込みをしたことを根拠に、長男が違法な賭博を行っていた疑惑を提起した。
これを受け、李氏は同日午前、「父親として、息子と共に深く頭を下げ、謝罪申し上げる」とする謝罪文を発表。「書き込みをした当事者は私の息子で間違いない」と認めた。
尹氏にも妻のキムさんの疑惑がのしかかる。
2007年に水原女子大の客員教授への志願書を提出した際に受賞歴を偽った疑惑を与党が提起すると、キムさんはテレビ局の報道陣に「目立ちたいという欲だった」などとストレートな釈明をし、疑惑を強める結果を招いた。その後、キムさんは16日に聯合ニュースに「事実関係はともかく、国民に不便をかけ、謝罪する」と述べた。
共に民主党、国民の力の両党は、候補の家族リスクが膨らむ状況に困惑を隠せずにいる。家族の疑惑は大統領選のキャスティングボートを握る20~30代の投票にも影響しかねないことから、事態の行方を注視している。
報じられた李氏の長男の書き込みには「インターンシップをやめたい」というつぶやきや、自らを「ギャンブラー」と称するなど、若者を刺激しそうな要素も含まれている。女性を見下すような表現もあった。20代女性からの人気の低さが弱点の李氏だけに、疑惑が広がるほど打撃が増しそうだ。
国民の力にとっても、キムさんの経歴詐称疑惑は痛手だ。
尹氏の検事総長時代、検察は文在寅(ムン・ジェイン)政権で法務部長官を務めたチョ国(チョ・グク)氏の家族の表彰状偽造や不正入学疑惑を追及したことから、他人に厳しく自分や身内に甘い「ネロナムブル」との批判も起きている。
両党の対応にはやや差がみられる。李氏は16日に3回謝罪し、長男も実名の文書を出して報道内容を認めた。素早い対応で逆風を抑え込むと同時に、妻を擁護する尹氏との違いを際立たせる狙いがあるようだ。
一方、尹氏は低姿勢を取りながらも、キムさんの疑惑の事実関係を問うべきとの姿勢を示している。
尹氏は16日、「私や妻は国民の期待に届かないことに対し、国民に常に申し訳ない気持ちを持っている」としながらも、「共に民主党の主張の大半は、私たちが全体として事実ではないということをずっと説明してきたものだ」と述べた。妻の疑惑を取り上げて尹氏を不利な立場に追い込もうとする与党の攻勢に巻き込まれ、早々に「白旗」を挙げるのは適切ではないとの認識の表れとみられる。
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