捜査機関の通信記録照会問題 韓国大統領府は沈黙=与党は野党批判も
【ソウル聯合ニュース】韓国で政府高官らの不正を捜査する組織「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」が野党の国会議員や記者の通信記録を照会していた問題を巡り、保守系最大野党「国民の力」が反発を強めている。これに対し青瓦台(大統領府)は言及を控えながらも、事態の推移に神経をとがらせている。
◇言及避ける青瓦台 論争を警戒
青瓦台関係者は30日、聯合ニュースの電話取材に対し「この問題に青瓦台が言及するのは適切ではない」と一線を画した。
公捜処は政治的な独立性が保障された組織のため、その捜査方法に青瓦台が言及すれば不当な介入になりかねないというのが青瓦台側の見解だ。青瓦台が「問題なし」とする姿勢を示した場合、大統領選を控えた時期に政治に介入する格好になり、野党の一層の反発を招くだけでなく世論の逆風にもさらされかねないと判断したようだ。
すでに青瓦台内部には波紋の広がりを懸念する雰囲気も漂い始めている。公捜処は文在寅(ムン・ジェイン)大統領が最大の成果として挙げている検察改革を象徴する組織であり、公捜処の中立性問題が尾を引けば、文大統領が取り組んできた改革に対する評価に傷をつける可能性もある。
◇与党は野党批判の材料に
野党は公捜処の通信記録照会を「民間人の査察」と批判したが、革新系与党「共に民主党」はこれを野党の強弁、過度な政治攻勢として際立たせようとしている。公捜処は通話の中身を調べたのではなく、受信者と発信者が誰かを確認する合法的な捜査を行ったとの認識を示している。
また、国民の力から大統領選に出馬する尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長が在任中に検察が照会した通信記録は比較にならないほど多いとして、具体的な数字も挙げた。尹氏を「ネロナムブル(他人に厳しく自分や身内に甘いこと)」だと指摘した。
ただ党内でも、党が公捜処の肩を持つように世間から見られた場合、世論を敵に回すことになりかねないと懸念する声が聞かれる。
一方、大統領選の同党候補、李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事は30日、通信記録の照会について「法令に基づく行為を査察とはいえない」とした。ただ、照会の対象が野党関係者に集中した点に関しては「野党だけだったとすれば、十分に(公捜処が)疑われることで、問題提起されるようなこと」と述べた。
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