与党勝利か政権交代か 混戦模様続く韓国大統領選まで1カ月
【ソウル聯合ニュース】3月9日に投開票される韓国大統領選まで7日であと30日となる。
朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾を受けた2017年5月の大統領選で「積弊(積み重なった弊害)清算」を掲げて政権を交代させた革新系「共に民主党」が今回の大統領選でも勝利するか、朴政権の国政介入事件で大きな打撃を受けた保守系「国民の力」が政権を奪還するかはいまだ不透明な状況だ。
世論調査で政権交代を求める意見が約55%に達している一方、退任を控えている文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率は歴代大統領を上回る40%前後の支持率を維持する異例の展開となっている。
主な候補は共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事と国民の力の尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長、中道系「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)代表、革新系「正義党」の沈相ジョン(シム・サンジョン)元党代表の4人で、選挙が近付くにつれ、革新系と保守系が結集する動きが強まり李氏と尹氏による「2強」の構図が鮮明になっている。
各種世論調査で李氏と尹氏の支持率は誤差の範囲内で拮抗している。昨年11月5日に尹氏が党の公認候補に選出され、有力候補が出そろってから今年1月末まで7回実施された韓国ギャラップの世論調査で、李氏と尹氏の支持率の差が10ポイント以上になったのは2回しかなかった。直近の調査(1月25~26日)を含め2回は同じ支持率を記録するなど、終盤まで「五里霧中」の大接戦になっている。
「史上初めての非好感(好感を持てる候補がいない)大統領選」といわれる今回の選挙で中道系が中心となっている浮動層が支持候補を決めていないことが背景にあるとみられる。候補本人や家族を巡る疑惑が次々と浮上していることも影響を与えている。
また、世代別の支持率は40~50代で李氏、60代以上で尹氏が高い中、ジェンダー問題で分かれた20~30代の男性と女性の取り込みが勝敗に大きな影響を与えるとみられる。
候補一本化が行われる場合も選挙構図に影響を及ぼす可能性がある。関心を集めているのは尹氏と安氏の一本化だ。安氏は一本化しない考えを表明したが、尹氏との一本化が実現したり安氏が候補を辞退したりする場合は選挙構図を揺るがす重大な要因になり得る。共に民主党も「統合政府」を強調し、安氏と連携できるとの姿勢を示唆している。
テレビ討論会も変数だ。中央選挙管理委員会主催の4候補による討論会は3回(21日、25日、3月2日)予定されている。これとは別に李氏と尹氏による討論会が開かれる可能性もある。合計39%の高視聴率を記録した今月3日の初の討論会が決定打を欠く内容となり、選挙に与える影響は少ないとの見方が多いが、残り3回の討論会が浮動層を動かす可能性もあり、少なからず影響を与えると見る向きもある。
各候補は選挙終盤の戦略づくりに総力を挙げている。李氏は新型コロナウイルスの危機克服に向けた有能な経済大統領というコンセプトを掲げ、支持層を結集させる狙いだ。外交・安全保障など一部の分野を除いては尹氏と公約の違いがほとんどなく、政策を実行する能力を持つ候補という点を強調する考えだ。
尹氏は政権交代を求める有権者を結集させ、次期大統領としてふさわしい能力があると立証することに注力する構えだ。文政権の不動産政策の失敗を強調し、再開発・再建築の規制緩和などを公約に掲げ、中道系と首都圏の有権者を取り込む狙いだ。
安氏は最後まで戦い抜く意向を強調し、与党と最大野党に失望した有権者を取り込み、「3強」の構図に持ち込みたい考えだ。沈氏は革新系政党としての存在感を確保する狙いだ。
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