尹錫悦政権 政府組織をスリム化へ=韓国大統領選
【ソウル聯合ニュース】9日投開票の韓国大統領選で当選した保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長は、大統領就任後に政府組織をスリム化すると公言してきた。「官民が共に働く実用政府」が尹氏の構想だ。
選挙戦で発表した政府の国政運営計画では「大統領室を設け、公務員と民間の人材が共に働く組織にする」という目標を提示していた。こうした「官民合同」路線は政府官庁の組織にも反映されるとみられる。
ただ、5年ぶりの政権交代に伴う公務員組織の動揺を抑え、国政運営の連続性をできるだけ保つため、青瓦台(大統領府)以外の組織の人員削減や官庁の統廃合などは最小限にするというのが現段階の方針だ。政権引き継ぎ委員会で詳細な議論が行われると予想される。
◇青瓦台を「大統領室」に縮小再編
尹氏は政府の革新に関し、「国政運営方式の大転換により国民と共に歩む大統領になる」との公約を掲げており、青瓦台の改革に大きな重点を置いている。就任後に青瓦台という名称を「大統領室」に変える考えだ。
公約では、現在の青瓦台の建物と敷地を国民に開放し、ソウル中心部・光化門の政府ソウル庁舎内に大統領室を設けて国民と物理的により近づくとしていた。大統領執務室の移転計画は政権引き継ぎ委員会の段階でまとめる方針だ。
大統領室は「精鋭の参謀」と「分野ごとの官民合同委員会」を中心とした組織に再編する。首席秘書官や民情首席室を廃止するなどして人員を3割ほど削減し、組織をスリム化して戦略組織へと変える計画だ。
官民合同委員会では、公務員と分野ごとの民間専門家が共に活動する。職能や地域、世代を代表する人々もここに加える構想を持っている。
また、大統領室を含む全ての政府官庁の組織に「青年補佐役」を置き、韓国で初の「30代閣僚」を起用する方針も示しており、実現の可能性が注目される。
開放性と実用性を重視する組織再編構想は「デジタルプラットフォーム政府」構築へとつながる。
尹氏は「デジタル時代に合わせた政府機能の効率化と国民向けサービスの最適化が必要だ」と訴えており、人工知能(AI)やビッグデータ技術を基に政策・制度の立案準備プロセスを科学化・システム化し、国民向け行政サービスのプラットフォームを一元化する構想を抱いている。これは不要な行政手続きや人員の無駄遣いをできる限り減らすという意味にも取れる。
◇官庁再編 女性家族部を廃止へ
尹氏は女性政策を担当する女性家族部について、社会的変化に伴い要求されている男女平等の実現という機能を十分に果たせておらず、逆にジェンダー対立を増幅させているとの判断から廃止を計画している。代わりに少子化の克服、青少年保護、家庭内暴力や性的暴力対策など、子どもや家族、人口に関する社会的懸案を総合的に扱う官庁を新設する考えだ。
慶尚南道に「航空宇宙庁」を設立し、航空宇宙産業のクラスター(集積地)を作る構想も掲げている。
また、在外同胞財団を吸収して「在外同胞庁」として新設するほか、2016年に関連法が成立したものの5年以上も発足が遅れている北朝鮮人権財団の設立も急ぐ方針だ。
◇司法分野でも改革 法相の捜査指揮権を廃止
検事総長を務めた尹氏は、司法分野でも思い切った役割と機能の調整を図る。法務部長官が持つ検事総長に対する個別事件の捜査指揮権を廃止し、検察に予算編成権を与えて検察の中立性と独立性を保障することを原則に掲げている。
文在寅(ムン・ジェイン)政権で新設された高官らの不正を捜査する組織、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)については、組織は維持するものの捜査に対する公捜処の優越的、独占的な地位規定をなくし、検察・警察にも高官らに対する捜査権を与える方針にしている。
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