検察捜査権剥奪法案の推進で与野党が合意 検察から批判と失望=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国の与党「共に民主党」が検察改革の一環として推進する検察から捜査権を剥奪する法案を巡り、朴炳錫(パク・ビョンソク)国会議長が提示した仲裁案を同党と保守系最大野党「国民の力」が受け入れる意向を示し、検察内外で22日、強い反発が広がった。
金オ洙(キム・オス)検事総長をはじめ各高等検察庁のトップなどは仲裁案に反対し、辞意を表明。検察外部からも批判があふれた。
与野党が受け入れた仲裁案には、検察の直接捜査権と起訴権を切り離し、現在検察が捜査を担う「6大犯罪」の中から公職者犯罪、選挙犯罪、防衛事業犯罪、大規模惨事を外す内容が盛り込まれた。残りの腐敗・経済犯罪に対する直接捜査権も、「重大犯罪捜査庁」の設置後に廃止される。
与野党は仲裁案を受け入れる意思を明らかにし、4月の臨時国会でこれを処理することで合意した。
金検事総長は与野党が仲裁案を受け入れる意向を示したことを受け、「この全ての状況の責任を取り、辞職願を提出する」と発表した。
また、大検察庁(最高検)次長検事や各高等検察庁のトップも一斉に辞意を表明した。
大検察庁も別途に出したコメントで、仲裁案は事実上、これまでの検察捜査権完全剥奪法案の施行時期を遅らせるものにすぎないとし、「法案が最終的に通過するまで法案の不当性や問題点を広めていく」と強調した。
検察内部からも当惑する声や、むなしさを訴える声があふれた。
ある現職検事は与野党が合意したとの報を受け、結局は検察出身の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領も仲裁案を受け入れたということになるが、それに対するむなしさと裏切られた気持ちがとても大きいとし、「特捜部の検事らは重大犯罪捜査庁で捜査を続けるが、残りの検事は捨てられる」と指摘した。
ある地方検察庁のトップは「各界の意見の取りまとめをしようとした野党までが結局自分たちにとって有利に作用する法案が出てきたため、すぐに立場を変えて同じ船に乗った」とし、被害は全て国民が被ることになると指摘した。
◇仲裁案の内容や合意過程に対する批判も
検事らは同仲裁案が政界に対する検察の捜査を防ぐための法案と口をそろえた。
地検の部長検事は「仲裁案の趣旨は自分たちの政府で起きたことについて捜査するなというもの」とし、「先の法案と変わっておらず、政界の捜査をできないようにするという内心が表れている」と批判した。
また別の部長検事は「段階的な検察の抹殺を推進するもの」とし、特捜部の検事を残す重大犯罪捜査庁の設立を推進することで、検察内部を分裂させ、与野党を同時に満足させる案だと指摘した。
提案から半日で行われた合意が拙速という指摘も出た。
議政府地検の部長検事は「国会議長の仲裁案であっても、十分な意見の取りまとめや熟考の過程なしに短時間で推進するのは拙速立法」とし、内容もこれまでの捜査権剥奪法案と差がないと指摘した。
検察外部でも、国民の苦痛を無視した政治的妥協などといった批判の声が出た。
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