強制動員巡る官民協議体が初会合 「できるだけ早く解決策まとめる」=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓日関係の最大の懸案となっている日本による植民地時代の強制動員被害者への賠償問題を巡り、韓国の外交部は4日、官民協議体の初会合を非公開で開いた。被害者と日本側の双方が受け入れられる解決策の模索が目的であるものの、被害者側が日本企業との直接交渉を望んでおり、解決策をすぐに打ち出すのは容易ではなさそうだ。
初会合は趙賢東(チョ・ヒョンドン)第1次官が主宰し、被害者側関係者のほか、政府関係者や専門家など計約10人が参加した。
韓国政府が官民協議体を発足させたのは両国関係に大きな影響を与える日本企業の韓国内資産の売却(現金化)が差し迫り、外交的な解決策を導き出す必要性が高まったためだ。これまで非公式で行われていた政府と被害者側の協議が、公式に行われるという意味もある。
趙氏は「官民が向かい合って虚心坦懐(たんかい)な議論ができるようになったことに意味がある」とし、「今回のような対話と意思疎通の場が問題解決の重要な動力になる」と強調した。
外交部によると、協議体では大法院(最高裁)で判決が確定した3件のみを扱うことを申し合わせた。強制動員に関連した訴訟は大法院で係争中の9件など計67件が進行中だが、この67件については扱うかどうかを含め今後検討する。
外交部によると、被害者側は協議体で政府に対し、日本企業との直接交渉の実現に向けた外交努力を求めた。また日本企業側の遺憾表明が必要との立場も伝えた。
被害者の代理人は会合前に開いた記者会見で、「被害者と日本企業が会って議論するのが道理」と強調。その上で、直接交渉が実現すれば被害者の同意を得て、現金化の執行手続きの調整を検討すると明らかにした。
このような被害者側の要請について、外交部当局者は会合後、記者団に対し、「そのほかの様々な案についても十分に検討し、議論をしてから立場を決めなければならないと考える」と述べ、即答を避けた。
日本企業はこれまで被害者側との面会にも応じてこなかったため、直接交渉が実現する可能性は低いとの見方が多い。
外交部当局者によると、会合では国際仲裁裁判など第三者に解決を委ねる案が出された一方で、「非現実的」と指摘する意見も出た。日本企業の韓国内資産が現金化されることで、日本内の韓国企業などに対する悪影響が生じるとの意見や、現金化問題の解決は訴訟の完結ではないとの意見もあったという。
外交関係者らの間では両国の企業など民間が参加する自発的な基金の設置や、「代位弁済」を通じ韓国政府が賠償金の支払いを肩代わりする案などが取り沙汰されてきた。
ただ、政府は今回の会合で特定の案を提示なかったという。
またメディアなどで報じられた、韓日の企業などによる募金で共同基金を作る案などについては、政府案ではなく、日本側と調整したこともないとの説明があった。
政府は協議会から提出された意見に基づいて最適な案を用意し日本側と協議する方針だ。必要があれば案を用意する過程で公聴会を開く予定だ。
外交部当局者は「(強制動員の問題が)簡単には解決できないというのはある程度、同意が形成された状況で最も現実的で支援団体を満足させながらも、国民に説得力のある案を導き出していくことが必要という話があった」と伝えた。
同当局者は「被害者が高齢化し、現金化という事案もあるため、できるだけ早く解決策をまとめる必要がある」としながら、「緊張感を持って集中的に議論を進展させる予定」と話した。また「政府は解決策を用意する意思を持っている」と強調した。
次回の会合は今月中に開かれる予定だ。
大法院は2018年10月と11月、新日鉄住金(現日本製鉄)と三菱重工業に対しそれぞれ被害者への賠償を命じた。だが、両社とも賠償を拒否し、被害者側は被告企業の韓国内資産を現金化するための手続きに入り、今秋にも強制執行の開始に向けた最終判断が下される見通しだ。
日本は自国企業の資産の現金化を両国関係の「レッドライン(越えてはならない一線)」と見なしてきた。大法院の判決後に急速に悪化した両国関係を改善したい韓国政府としては、現金化を回避する方策の提示が求められる状況だ。
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