米中競争で岐路に立たされる韓中関係 国交正常化から30年
【北京、ソウル聯合ニュース】韓国と中国が24日、国交正常化から30周年を迎える。両国は「ポスト冷戦」と中国の改革・開放路線、社会主義諸国との関係改善を図る韓国の北方政策を追い風に1992年8月24日に外交関係を樹立して以降、地理的な近さ、経済面での相互補完性、文化的な類似性を基に急速な発展、成長を遂げた。だが、地政学的な限界と相互信頼の不足により、今なお「近くて遠い」関係を維持している。「新冷戦」と呼ばれる国際秩序の激変に見舞われている今、両国関係は岐路に立たされている。
国交正常化30周年を控えた今月9日に韓国の朴振(パク・ジン)外交部長官と中国の王毅国務委員兼外相が中国・青島で開いた会談は、最近の韓中関係の現実を如実に示した。
両氏は、韓国に配備されている米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」を巡り、両国関係の障害にならないようにすることで一致したが、中国は会談翌日の10日、THAADの「3不」に加え「1限」にも言及した。3不1限とは、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前政権が掲げた3不(THAADの追加配備をしない、米ミサイル防衛システムに参加しない、韓米日の安全保障協力は軍事同盟に発展しない)と、配備済みTHAADの運用を制限することを意味する。会談が行われたのは、ペロシ米下院議長の今月上旬の台湾訪問に反発して中国が台湾を取り囲む形で軍事演習を行い、域内の緊張が最高潮に達していた時だった。
THAADを巡る韓中のあつれきは、2016年に当時の朴槿恵(パク・クネ)政権がTHAADの配備を決定したことで生じた。配備に強く反発した中国は、韓流コンテンツの締め出しなどの措置を取った。下火になったかのように思われたこのTHAAD問題が再び頭をもたげ、新たな局面に入る様相さえ見せているのは、言うまでもなく米中の戦略的競争のためだ。
中国は、在韓米軍のTHAADのXバンドレーダーが中国の軍事動向を探知するのを放っておくわけにはいかないとかみつく一方、米中対立の中で韓国を引き寄せるため秋波も送っている。
THAAD問題以外で韓国が中国からラブコールとけん制を同時に受けている分野が半導体だ。米国が重要産業の供給網(サプライチェーン)から中国を排除しようとしている中、韓国を韓中間の半導体協力の枠組みにとどめておくことは中国にとって戦略的に重要となる。中国が、米国主導で4カ国・地域(米国、韓国、日本、台湾)の半導体協力強化を目指すいわゆる「チップ4(Chip4)」への韓国の参加をけん制する一方、韓中自由貿易協定(FTA)の第2段階交渉の加速と供給網協力を強調するのもそのためだ。
中国との貿易はこの30年間、韓国経済の成長の原動力となったが、対中貿易への高い依存度は今や韓国の外交・安保政策を制約しかねない両刃の剣となっている。そうした意味で、「安保は米国、経済は中国」という時代はすでに過ぎたという声は多い。加えて、過去最悪といわれる相手国に対する国民感情も、両国関係を難しくしている。
韓中関係が韓国の安保上の利益を損なわず、かつ両国が経済をはじめとする互恵的な分野で共生関係を維持していくには、中長期的に関係の在り方の見直しが必要と指摘される。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、韓米同盟という外交・安保政策の主軸を堅持しながら中国との戦略的協力パートナー関係を実質的に維持していくという巧みな外交を迫られている。
外交・安保分野に「チャイナリスク」が飛び火するのを防ぐには、行き過ぎた中国への経済依存度を適正水準に改め、市場を多角化する努力が求められる。容易ではないが、米中の戦略的競争関係に従属しない道も示す必要がある。
中国政法大の文日鉉(ムン・イルヒョン)教授は「イデオロギー中心ではなく国益中心の実用外交により、米中の間で韓国の国益を極大化する方向へ外交を展開すべきだ」と指摘する。
対中関係への苦悩は、最近の政府の言動に表れている。韓米同盟の強化と韓中の相互尊重を強調する尹錫悦大統領は、米中の双方を重視する文在寅前政権のバランス外交を撤回し、米国主導の新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に参加したり北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席したりと米国に接近する姿勢をみせてきた。
だが、中国の半導体市場に大きく依存する韓国企業の利害が絡む「チップ4」への参加問題は、政府を大きな苦悩に陥れた。ペロシ米下院議長が訪台後に韓国を訪れた際、尹大統領が対面で会談せず電話会談にとどめたことに対し、中国では「尹錫悦バージョン」のバランス外交のシグナルと見なす声も上がった。
米国、中国との関係を巡り、金興圭(キム・フンギュ)亜洲大・米中政策研究所長は「韓米同盟を最優先とすることは当然であり、中国とは立場の違いはあるものの敵対的な関係になって多額のコストを払うことは望ましくない」とし、「中国との関係を管理することのできる外交」が必要だと指摘した。また「米中の戦略的競争という巨大な沼であがくのではなく、同じような立場に置かれている他の中堅国と共に新たな国際秩序を積極的に築いていくべきだ」と強調した。
金氏は、最近になって尹政権が中国を敵視する政策は取らないというメッセージを中国に繰り返し伝えており、微妙な変化もうかがえるとし、「その方向性は正しい」と評価した。
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