北朝鮮メディアが主要貿易企業を紹介 コロナ以降の制裁に対応か
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮・平壌の大聖百貨店でフランスの高級ブランド「シャネル」やスイスの時計ブランド「ロレックス」の製品が販売されていることが、5日までに分かった。
朝鮮中央通信が先ごろ公開した写真によると、この百貨店では「コーチ」のバッグや靴、「ティソ」や「オメガ」の貴金属・時計、日本のソニーやドイツのシーメンスの家電製品など、世界的なブランドの製品を扱っている。
同百貨店を巡っては、2019年4月に改装を終えてリニューアルオープンした際、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)が視察したことが報じられたが、これまで運営主体については明らかにされていなかった。今回、北朝鮮の週刊英字新聞「平壌タイムズ」は5日付の記事で、大聖百貨店を傘下に置く「朝鮮京興貿易総会社」について「食品生産と輸出、商業、給食サービス、情報通信(IT)開発、各種保税加工、合弁・協業を含む多角的な貿易活動を行う信用ある国際貿易グループ」と紹介した。
メディアによると同社は1987年8月に設立され、チェ・グァンフンという人物が代表を務めている。
傘下にはソフトウエア製品を開発するIT企業やレストラン、ビアホール、タクシー会社、衣類を扱う輸出会社などがあり、電子製品メーカーや水産物加工会社などに専門家や熟練工も派遣している。
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)機関紙の朝鮮新報が07年に報じたところによると、同社は当時平壌・万景台の光復通りで縫いぐるみ工場を運営していたが、当時よりも事業範囲が大幅に拡大したものとみられる。
この他にも、北朝鮮はさまざまな宣伝メディアで北朝鮮企業をPRしている。
北朝鮮の対外向け出版物を発行する外国文出版社は「朝鮮北城貿易総会社」を「屈指の大企業」とするハングル、英語、中国語の広報物を発行したほか、英文季刊誌「フォーリントレード」も「馬頭山経済連合会」という企業が新義州国際経済地帯の総合開発権を持っていると紹介した。
これに先立ち、北朝鮮は今年2月の最高人民会議(国会に相当)第14期第6回会議で、海外同胞による投資に対して財産保護、減税・融資などの特典を保障する「海外同胞権益擁護法」を採択した。
このような動きは経済難が長期化し、対北朝鮮制裁や新型コロナウイルスの感染拡大による国境封鎖で外国人の投資誘致が困難なことを受け、今後の貿易再開に備えるためと分析される。
ただ、非核化に進展がない状況で米国をはじめとする国際社会が制裁を緩和することは期待できない。
日本は北朝鮮に対する輸出入の全面禁止と船舶の入港禁止、送金禁止など厳格な独自制裁を行っているほか、米国も北朝鮮と取引する第三国の企業と個人を制裁する「セカンダリー・ボイコット」を適用しているため、実際に投資誘致につなげるのは難しい見通しだ。
ynhrm@yna.co.kr