韓国で戦術核の再配備巡る議論活発に 北朝鮮の脅威高まり受け
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が「戦術核運用部隊」の訓練を実施したと発表したことに絡み、韓国で政界を中心に戦術核の韓国への再配備を巡る議論が活発になっている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領も「様々な意見を傾聴して検討している」と述べている。
韓国には冷戦期の1958年から1991年まで米軍の戦術核兵器が配備され、在韓米軍によって運用されていた。北朝鮮の核·ミサイル脅威の高まりに伴いこれを再配備することで北朝鮮に対抗すべきとする声が上がっている。一部の専門家は韓国に戦術核を再配備し、北朝鮮の非核化の交渉材料にするよう主張している。
ただ再配備に反対する声も根強い。再配備すれば、北朝鮮に非核化を要求する説得力が弱まることで朝鮮半島の非核化が遠のき、朝鮮半島および北東アジア情勢の緊張を高めるという主張だ。
戦術核兵器は数十キロトン(1キロトン=TNT火薬1000トンの爆発力)前後の威力の核弾頭を巡航ミサイルや魚雷など短距離兵器に装着して運用する。低威力の核兵器も同様の意味で使われる。
世宗研究所のチョン·ウンスク名誉研究委員の戦術核兵器に関する報告書によると、韓国内の戦術核兵器は1960年代に最大950発になり次第に減少。85年には150発程度に削減された。
その後、1991年11月の当時の盧泰愚(ノ・テウ)大統領の朝鮮半島非核化宣言などにより、残っていた約100発が搬出された。
一方、北朝鮮は韓国に戦術核が配備される前の1950年代半ばから核に関する研究を始め、1992年以前にはすでに寧辺に核施設を建設。これまで核を一度も放棄することなく開発を続けてきた。
米国は核兵器を含めたすべての軍事的能力を活用して、韓国を米本土と同水準に防衛する「拡大抑止」を行使すると約束しているものの、北朝鮮が7回目の核実験など多様な挑発手段を持っている以上、韓国も戦術核を再配備することでバランスをとるべきとする声が絶えない。
米国は現在、北大西洋条約機構(NATO)に加盟する一部の国に戦術核を配備し、NATOと「核同盟」を構成している。
NATOに配備した戦術核兵器は1960年代に最大7000発になったが、1990年には約4000発に減った。2015年基準で150~200発程度をドイツ·ベルギー·オランダ·イタリア·トルコに配備したと推定される。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は先ごろ、韓国への戦術核再配備に関連する質問に対し、「同盟の事案と関連した韓国の立場と要求は韓国側が明らかにする」とし明言を避けた。
一方、米国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表は先月、韓国で開かれた国際フォーラムに出席した際、「韓国に戦術核を再配備するのは正しい答えではないと個人的に考えている」とし、否定的な見解を示した。
キム氏は「核兵器を再配備すれば状況をさらに複雑にし、朝鮮半島を超える波紋を呼び起こすだろう」とし「朝鮮半島の非核化に向けた外交の道を追求し、安定と平和を維持していくことがさらに難しくなるだろう」と懸念した。
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