韓国政府 日本の明治産業遺産巡る約束不履行に「遺憾」
【ソウル聯合ニュース】日本が朝鮮半島出身者の強制労働があった長崎県の端島炭坑(軍艦島)などが含まれる世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」について、朝鮮半島出身者への差別がなかったなどとする報告書を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出したことに対し、韓国政府が遺憾の意を表明した。
外交部の任洙ソク(イム・スソク)報道官は13日、論評を出し、「(ユネスコの)世界遺産委員会の決定や日本が約束した後続措置が忠実に履行されていない」とし、遺憾の意を示した。そのうえで、ユネスコとその諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)の共同調査団の報告書の結論を参考に後続措置を履行するよう日本側に求めた。世界遺産委員会は前日、日本が提出した報告書を公開。報告書では朝鮮半島出身者への差別がなかったという趣旨の主張が繰り返されていた。
任氏はこの日の定例会見で、政府の立場を日本に伝えたかとの質問に対し「外交チャンネルを通じて政府の立場を日本側に伝えるとともに、日本側が既存の約束と世界遺産委員会の決議を忠実に履行するよう促す予定」と答えた。
日本政府は2015年、明治日本の産業革命遺産の世界遺産登録にあたり、強制徴用の被害者を記憶するための施設を設置することを国際社会に約束したが、遺産から遠く離れた東京に「産業遺産情報センター」を開設して日本の産業化の成果を自画自賛し、強制徴用の被害そのものを否定する証言と資料を展示した。
ユネスコとイコモスの共同調査団は昨年6月の同センターの視察を巡る報告書で、1910年以降の「歴史全体(full history)」に対する日本の説明戦略が不十分だと結論付けた。「歴史全体」とは、軍艦島など明治時代の産業遺産を日本人の観点からだけでなく朝鮮半島出身の強制徴用労働者など被害者の視点からも均等に扱うことを意味する。世界遺産委員会は昨年7月、日本の世界遺産の管理方式に強い遺憾の意を盛り込んだ決議を採択した。
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