前政権で統計改ざん疑惑 大統領府の介入も調査か=韓国監査院
【ソウル聯合ニュース】韓国の監査院は文在寅(ムン・ジェイン)前政権で経済統計を改ざんした疑惑があるとして、監査を加速させている。住宅価格や所得、雇用などの統計が文前政権の経済政策だった「所得主導成長」などに合わせるため改ざんされた状況証拠を確保したとされる。統計の改ざんには青瓦台(旧大統領府)も関与したとみて、当時の青瓦台高官を呼んで調査することも検討しているようだ。
◇統計庁職員らのパソコン調査 住宅価格統計改ざんか
監査院は監査対象機関である統計庁や国土交通部、韓国不動産院の統計担当職員のパソコンを調べ、メールやテキストメッセージ記録などを復元した。監査院はこれらの機関が主要統計を取りまとめて公表する過程で青瓦台への事前報告や青瓦台からの修正要求があったかを調べている。
不動産価格が高騰した文前政権では住宅価格の統計が論争を呼んでいた。2020年、当時の金賢美(キム・ヒョンミ)国土交通部長官は国会で、「(文政権発足後に住宅価格が)鑑定院(現韓国不動産院)の統計で11%程度上がった」と答弁した。一方、市民団体「経済正義実践市民連合」は文大統領就任から3年間でソウルの住宅価格は34%上がり、マンション価格の上昇率は52%に達すると主張していた。
◇統計庁トップ交代後に分配指標改善
18年8月、当時の黄秀慶(ファン・スギョン)統計庁長が就任からわずか13カ月で更迭されたことも注目される。18年1~3月期の家計動向調査では1分位(所得下位20%以下)の所得が前年同期比8.0%減少し、所得格差は03年に統計を取り始めて以来、最も大きくなったことが明らかになった。このため、政府が所得主導成長を推進しているにもかかわらず貧困層の所得はさらに減少し、分配格差も広がったとの批判が出た。
文前大統領は低賃金労働者の所得が増加し、個人労働所得の不平等が改善されたとして、最低賃金の引き上げや所得主導成長のプラスの効果が90%だと反論した。この主張には黄氏の後任に起用された姜信ウク(カン・シンウク)氏が韓国保健社会研究院で作成した報告書が参考資料として活用された。
黄氏は離任式で「正確かつ信頼性のある統計をつくり、政策を正しくみれるようにしなければならない」などと発言し、青瓦台などの介入があったことを暗に示した。
姜氏が庁長に就任し、統計の調査方式を変えた後は所得分配指標が改善された。
監査院は統計庁職員を対象にした調査で、青瓦台関係者が特定の内容を入れたり削除したりするよう求めた事実があり、一部は実際に反映されたことを確認した。
◇元大統領府高官に調査拡大か
監査院は調査対象を当時の青瓦台高官に広げる構えだ。経済首席秘書官だった洪長杓(ホン・ジャンピョ)氏を呼んで調査することを検討している。ただ、監査院は「青瓦台首席秘書官の調査方針は決まっていない」と説明した。
だが、青瓦台の介入があったかどうかを確認するためには当時の高官を調査する必要があるとの見方が多い。
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