ソウル上空に侵入の北朝鮮無人機 大統領室一帯を撮影か
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の無人機が26日に韓国の領空を侵犯した際、ソウル・竜山の大統領室庁舎一帯を撮影した可能性が高いことが27日、軍関係者の話で分かった。最高レベルの防空網を維持すべきソウルの中心部にまで侵入されたことに批判が起きているほか、軍が無人機対応手順を守って正常に作戦を遂行したのかという疑問も提起されている。
韓国軍当局によると、26日に韓国の領空を侵犯した北朝鮮の無人機計5機のうち最初に捉えられた1機は真っすぐソウルの上空に入り、およそ3時間にわたり韓国側を飛行した。
軍は、この無人機が京畿道・金浦と坡州の間にある漢江河口の中立水域から侵入して南東方向に直行し、ソウル北部を飛行して北朝鮮に戻ったと発表したが、「北部」の正確な範囲は明らかにしていなかった。無人機がソウルの上空で常に捉えられていたわけではなく、レーダーに現れたり消えたりし、レーダーに映っていなかった区間での移動ルートがはっきりしないためとされる。
消息筋によると、この無人機はソウルを流れる漢江の北側にある竜山付近を飛行し、大統領室庁舎一帯を撮影した可能性があるという。
北朝鮮の無人機が真っ昼間に大統領室一帯の上空まで侵入したことが判明し、軍の対空防衛網の不備が露呈したとの指摘が強まっている。首都圏(ソウル市、京畿道、仁川市)の主要施設には陸軍が2019年に導入したドローン(小型無人機)テロ防衛用のレーダー「SSR」が配備されており、ドローンや無人機を探知して周波数を無力化するシステムがあるが、初めて迎えた今回の実戦で性能を発揮できなかったことになる。
北朝鮮の無人機侵入を受け、軍はF15KやKF16といった戦闘機や軽攻撃機KA1、攻撃ヘリコプターなど約20機の軍用機を出動させ、ヘリによる射撃で撃墜を試みたが失敗した。軍は「民間への被害」を懸念して対応レベルを調節したとしているが、北朝鮮無人機の目的が単なる偵察なのか攻撃なのか分からなかったことを考えると残念な対応だったと言われても仕方がない。
空中戦力を主体に撃墜を試みたことを巡っても、無人機対応マニュアルにのっとったものだったのか疑問視する声がある。北朝鮮の無人機に対する作戦は基本的に、地上の局地防空レーダーとこのレーダーの情報を受け取るバルカン砲運用対空防衛部隊が担うことになっているためだ。軍は陸軍や海兵隊の対空防衛部隊が対無人機作戦に参加したかどうかを明らかにしていない。
14年に北朝鮮の無人機が韓国側で初めて見つかって以降、軍が掲げた無人機対応戦力の確保がきちんと進められたかどうかを検証すべきとの指摘もある。軍は当時、低高度探知レーダーの導入や車輪型対空砲、電波妨害技術を利用する兵器システムの開発などに取り組むとしていた。
前日の無人機対応で、軍が北朝鮮の無人機を南北軍事境界線の南側に南下してくる前に捉えたことから、探知能力は以前より向上したと評価できる。局地防空レーダーなどが一定の役割を果たしたとみられる。14年から17年にかけて韓国で発見された北朝鮮の無人機はいずれもエンジンの異常などで墜落したもので、軍が探知して見つけたわけではなかった。
ただ、探知した無人機を捕らえる能力はなお不足している。バルカン砲に代わる口径30ミリ車輪型対空砲は昨年末に配備されたが、今回の作戦では言及もされていない。電波妨害兵器は最近開発が始まったばかりだ。
軍は無人機の撃墜に失敗した後、対抗措置として北朝鮮上空に偵察機を飛ばした。無人偵察機2機が軍事境界線を越え、有人偵察機も18年の南北軍事合意で取り決めた飛行禁止区域を越えて境界線近くまで飛行したとされる。
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