徴用被害者支援財団の定款変更は「事前準備」 賠償肩代わり巡り=韓国政府
【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の任洙ソク(イム・スソク)報道官は27日の定例会見で、日本による植民地時代の徴用被害者への賠償問題を巡って、日本企業の賠償金を肩代わりするために韓国の「日帝強制動員被害者支援財団」が定款の変更を推進しているとされることについて、「事前準備として改定作業を行っていると承知している」と述べた。

韓国企業の寄付だけで財源を確保し、徴用被害者に賠償金の代わりに弁済する案を政府から通知されたとして、徴用被害者と代理人、支援団体メンバーが記者会見を開いて反対の立場を示した=26日、光州(聯合ニュース)
任氏は「韓日の共通利益に合致する合理的な解決策を速やかに用意するために外交当局間がスピード感を持って緊密な対話と協議を続けている」として、対話と協議をさらに加速させる計画だと説明した。
これに先立ち、外交部主導で進められた官民協議会は、行政安全部傘下の公益法人である同財団が主体となり、民間の財源を用いて賠償金を肩代わりする案を有力な方策として議論していた。
財団は被害者への弁済を行うための根拠となる条項を定款の「目的事業」に追加する方針で、近く行政安全部に定款変更を申請する予定だ。
財団側と外交部は、今回の定款変更は外交部からの要請によるものではなく、今後財団が役割を果たすことが必要になる場合に備えた「事前準備」だと強調している。
ただ、財団を活用する案が政府の解決策として既定路線であり、外交部とも合意済みなのではないかとの見方も出ている。財団の沈揆先(シム・ギュソン)理事長は先ごろ、外交部とともに被害者側と面談したとされる。
外交部の当局者は「財団と外交部の間で事前協議は全くなかったのか」との記者団の質問に対し、「事前協議はあったはずだが、具体的な事項までは確認できなかった」と述べた。その上で、多様な解決策について見解の隔たりが縮まり、具体化しているのは事実だが、まだ最終的な結論は出ていないとして、財団の活用策が決まったとするのは適切ではないとの考えを示した。
政府は解決策の発表前に当事者や専門家などが参加する「拡大された形」の公開討論会を開き、意見を取りまとめる方針だ。
一方、この当局者は旧日本軍の韓国人慰安婦被害者、李玉善(イ・オクソン)さんが26日に死去したことについて、「誠意と最善を尽くして被害者の名誉と尊厳を回復し、心の傷を癒やせるよう積極的に努力する」と述べた。
また、朴振(パク・ジン)外交部長官が弔花を送り、外交部の関係者が弔問に訪れる予定だと明らかにした。
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