韓国政府「立場表明は不適切」 対馬の盗難仏像巡る判決に
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2023.02.02 20:15
【ソウル聯合ニュース】韓国外交部の当局者は2日、長崎県対馬市の観音寺から盗まれ、韓国に持ち込まれた「観世音菩薩坐像」を巡り、所有権を主張する韓国の浮石寺(忠清南道瑞山市)が像を保管している韓国政府に引き渡しを求めた訴訟の控訴審判決について、「司法府の判断に対して行政府が立場を明らかにするのは適切ではない」と述べた。
1日の控訴審判決で大田高裁は、浮石寺の所有権を認めた一審判決を取り消し、原告の請求を棄却した。
高裁は「1330年に浮石寺が仏像を制作したという事実関係は認めることができ、(日本の)倭寇(わこう)が略奪し違法に持ち出したと見なせる証拠もある」としながらも、「当時の浮石寺が現在の浮石寺と同一の宗教団体ということが立証できず、所有権を認められない」とした。また、「1527年に朝鮮から仏像を譲り受けたという観音寺側の主張も確認は難しいが、1953年から仏像が盗まれる2012年までの60年間、平穏かつ公然と占有してきた事実が認められる」とし、「すでに取得時効(20年)が完成しているため、所有権が認められる」と判断した。
ただ、「民事訴訟は所有権の帰属を判断するだけであり、文化財の返還問題は国連教育科学文化機関(ユネスコ)条約か国際法に基づいて決めなければならない」と指摘した。
政府が今回の判決に対して立場を示さなかったのは、この事案の司法手続きが完了していない点を考慮したものとみられる。
浮石寺側の関係者は判決を不服とし、大法院(最高裁)に上告する考えを示しており、所有権を巡る争いは続く可能性が高い。
yugiri@yna.co.kr