尹大統領「偽の平和に頼り、訓練実施せず」 前政権の防衛政策批判
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は8日、青瓦台(旧大統領府)の迎賓館で第56回中央統合防衛会議を主宰した。尹大統領は会議の冒頭、文在寅(ムン・ジェイン)前政権時代に同会議の規模が縮小されたと指摘したうえで、「偽の平和に頼り、民間、官庁、軍、警察の統合防衛訓練がきちんと実施されなかった」と批判した。
中央統合防衛会議は敵の侵入や挑発など国家安全保障の脅威に備え民間、官庁、軍、警察が統合防衛安保体制を点検し発展策を協議する。1968年に初めて開かれた。大統領が同会議を主宰するのは7年ぶりとなる。
会議には韓悳洙(ハン・ドクス)首相や閣僚、各広域自治体(市・道)のトップ、情報機関の国家情報院、軍、警察庁、海洋警察庁、消防庁の主要関係者、民間の専門家ら約160人が出席した。
尹大統領は「(前政権が)全ての国家防衛戦力を一つにまとめたため国家防衛のための全国民的総力戦の遂行体系が弱体化した側面がある」とし、今後も同会議を自ら主宰する方針を表明。急変する安保環境が厳しいと強調したうえで、隙のない準備体制を確立するよう求めた。
また北朝鮮の脅威ついて、「7回目の核実験(強行)や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射のような戦略的挑発の可能性が常に存在している。非対称の挑発、サイバー攻撃、多様なテロの脅威が高まっている」などと指摘。ウクライナ戦争で国際安保情勢が揺らいでいることにも言及した。
続けて「急変する安保環境は、起こり得る全ての危険に対抗する実質的な対応体制を求めている。北の多様な挑発の類型に合わせて統合防衛に隙がないか点検し、非常事態に備えた政府の準備体制を整備してほしい」と指示した。
また安保は軍人だけのものではないとし、「政府と民間が共に動かなければならない」と述べた。そのうえで「厳しい時期に、わずかな隙も見せず統合防衛訓練をきちんと実施するよう、公職者が意識と姿勢を堅持しなければならない」と強調した。
大統領室は、尹大統領が同会議を主宰した背景について、北朝鮮が韓国を「明白な敵」と規定し、韓国に対する核先制攻撃の意志を露骨に表している一方で、無人機侵入やテロ、サイバー攻撃など国民生活の安全を脅かす行為が次第に増えるなど厳しい安保状況の中で大統領を中心に一枚岩となった国家総力安保体制を整えることが重要だとの認識に基づくものだと説明した。
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