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韓国政府は「大局的決断」強調 被告企業不参加に批判も=徴用解決策

記事一覧 2023.03.06 13:42

【ソウル聯合ニュース】韓日間の最大の懸案である徴用被害者への賠償問題を巡り、韓国政府は6日、政府傘下の財団が日本の被告企業の賠償を肩代わりする韓国主導の解決策を正式に発表した。徴用被害者の高齢化と韓日、韓米日間の戦略的協力強化の必要性を名分に掲げたものの、日本の被告企業が賠償に加わらない解決策には批判もあり、政府が取り組む日本との未来志向の関係構築に今後も負担として作用する可能性が高い。

ソウル市内に設置されている徴用労働者像(資料写真)=(聯合ニュース)

ソウル市内に設置されている徴用労働者像(資料写真)=(聯合ニュース)

 韓国外交部が配布した解決策の説明資料によると、行政安全部傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が財源を確保し、2018年の韓国大法院(最高裁)判決で勝訴が確定した3件の原告に判決金(賠償金)を支払う。賠償金は遅延利息を含め計40億ウォン(約4億2000万円)程度とされる。

 大法院判決により日本製鉄、三菱重工業の被告企業2社が賠償義務を負ったが、日本が徴用問題は1965年の韓日請求権協定により解決済みとの姿勢をかたくなに貫いていることから肩代わりを決めた。

 韓国政府は係争中の徴用訴訟についても、原告勝訴が確定すれば同じ方法で賠償金などを支払う予定にしており、同財団の支払い額はさらに膨らむ見通しだ。現在、大法院の判決を待っている徴用訴訟は9件ある。

 政府は肩代わりの財源について、民間の自発的な寄付などによってまかなうと説明している。鉄鋼大手のポスコをはじめ韓国道路公社、KT&G、韓国電力公社、KTなど韓日請求権協定に基づいて日本から支払われた資金の恩恵を受けた韓国企業約16社が自発的に寄付する方法が取り沙汰される。

 だが、日本企業、とりわけ2社の被告企業の参加が保証されていない状態で政府が解決策の発表に踏み切ったことから、徴用被害者の支援団体などは強く反発している。

 日本の被告企業の資金ではなく韓国企業の資金で賠償する形になるため、大法院の判決趣旨を全く生かしていないとの指摘もある。

 徴用訴訟で原告代理人を務める林宰成(イム・ジェソン)弁護士は5日、ソーシャルメディアで「韓国企業の金で強制動員被害者の債権が消滅する格好だ。強制動員問題には1円たりとも金を出せないとする日本の完勝」と批判した。

 外交部は解決策について「高まった国の品格と国力に見合った大局的な決断」「高齢の被害者のため政府が責任感を持ち、歴史問題による韓国国民の痛みを積極的に抱えていく措置」と自評する。先月28日の朴振(パク・ジン)外交部長官と被害者遺族の面会などで聞き取った結果、多くの遺族が訴訟の長期化による疲労感を訴え、速やかな解決を希望したと政府は説明している。

 政府は今後、被害者と遺族に政府の解決策とこの先の手続きを説明し、賠償金の受け取りに対する同意を求める予定だ。原告の中には受け取りに同意する人もいるとみられる。一方で、同意しない原告との間で別の訴訟が続く可能性もある。

 政府が一部被害者の反発や国内の批判的な世論を承知の上でこうした解決策を発表したのは、現在の国際情勢下で韓日関係の改善が重要だと判断したためだ。

 外交部は「厳しい国際情勢下で韓日、韓米日間の戦略的な連携強化が両国の共同の利益に合致するにもかかわらず、協力の機会を失う状況が続いた」と言及。ロシアとウクライナの戦争、米中の新冷戦、北朝鮮の核能力高度化など国際情勢が急変するなかで韓日間の協力強化の必要性が高まったものの、歴史問題を巡るあつれきで思うように進まなかったとの認識を示した。

 だが、今回発表した解決策で徴用問題が完全に決着せず尾を引くようなら、韓日関係にとっても不安要因として残る恐れがある。

 日本の岸田文雄首相はこの日、参院予算委員会で徴用問題を巡り「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく」と述べたが、この先、日本政府の関係者らが歴史問題に対する従来の認識に逆行する発言をすることがあれば、韓国内の対日世論が悪化しかねない。

 実際、韓日が旧日本軍の慰安婦問題を巡る合意を結んだ後の2016年、当時の安倍晋三首相が被害者に謝罪の手紙を送る問題について「毛頭考えていない」と述べたことで激しい反発が起きた。

tnak51@yna.co.kr

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