翻訳へのAI活用「冷静な現状分析必要」 26日にシンポ=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国文学翻訳院の郭孝桓(クァク・ヒョファン)院長は15日、ソウル市内で行った記者会見で、人工知能(AI)翻訳機など機械翻訳が日常的に利用されている現状について「冷静な分析が必要だ。現在の技術力でどこまで可能かを見極めなければならない」との見解を示した。
昨年12月、韓国文学翻訳院が主催する「韓国文学翻訳賞」のウェブトゥーン(縦読み漫画)部門で新人賞を受賞した日本人が、翻訳に当たりインターネットサービス大手NAVER(ネイバー)のAI翻訳アプリ「Papago」を利用したことが波紋を呼んだ。同院は再審査を行った結果、受賞を認めたが、今後は翻訳機を利用した作品の受賞を認めないとして要綱を改正した。
郭氏は、作品の全文をPapagoで翻訳し、受賞作と比較したところ「はい」「いいえ」を除けば同じ文章はなく、受賞者からは内容を把握するためだけに利用したとの説明を受けたと明らかにした。
このため、韓国文学翻訳院は初期段階で翻訳機の力を借りたものの、完成した作品自体には独創性があると判断したという。
郭氏は、専門家も「われわれも(Papagoを)使うのに、何が問題なのか」という反応を示したとしながら、自らも日常的にPapagoを使うとして翻訳機が広く普及している現状に言及した。
一方、「新人賞は関門なので機械翻訳を利用せず、純粋に本人の力で行うよう要綱を改正した」とし、機械で翻訳した作品で応募された場合に備えた検証方法を検討中だと説明した。
AI翻訳の活用度が高まり、これを巡る法的・倫理的争点も浮上するなか、韓国文学翻訳院は26日、ソウル・韓国プレスセンターで「AI翻訳の現況と文学翻訳の未来」をテーマにシンポジウムを開催する。
シンポジウムの企画委員長を務める延世大のチョン・グァリ教授は「AIは人間の命令を受けて働き、自律権が与えられることも責任が求められることもない」として、AIの活用により生じる責任問題の複雑さを指摘した。
チョン氏は、フランス語と韓国語の詩をそれぞれAIで翻訳し、性能をテストした結果をシンポジウムで紹介する計画だ。
ynhrm@yna.co.kr